母子の拉致監禁を題材にした『ルーム』が共感を呼ぶ理由ーー“母親たちの物語”として観る

『ルーム』が描く普遍的な親子愛

 安い表現と思われてもかまわない。筆者は本作を観た時、涙こそ流さなかったものの、子育てというとてつもない困難を乗り越えた母親の偉大さを思わずにはいられなかった。同時に息子・ジャックの希望に満ちた成長譚に目を向ければ、母親が子育てによって得た喜びが多少なりとも理解できたのである。

 『ルーム』がジャンルムービーとしてではなく、強く共感できる映画として観られているのは、あくまで普遍的な親子の物語として作られているからなのだろう。設定の過激さにとらわれずに構えずに観れば、間違いなく得るものが大きい逸品である。

■藤本 洋輔
京都育ちの映画好きのライター。趣味はボルダリングとパルクール(休止中)。 TRASH-UP!! などで主にアクション映画について書いています。Twitter

■公開情報
『ルーム』
TOHOシネマズ 新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ブリー・ラーソン、 ジェイコブ・トレンブレイ、ジョーン・アレン
提供:カルチュア・パブリッシャーズ、ギャガ
配給:ギャガ
(c)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015
公式サイト:http://gaga.ne.jp/room/

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