『テラスハウス』スタッフが制作、『トランジットガールズ』は新しい恋愛模様を描き出せるか 

 先週放送された第1話では、小百合とゆいの出会いを描きながら、2人の人間性や周囲の環境を紹介している。小百合は、友情や恋といった青春を謳歌する健全な女子高生だが、ゆいは口数が少なく、感情をあまり表に出さないクールな印象だ。再婚への不満を露骨に表わし、ゆいに対しても冷たい態度をとる小百合。その一方でゆいは、義姉妹ならざる感情を抱きながら小百合へと近づき、第1話から視聴者をドキッとさせる大胆な行動をとっていた。

 また、性格だけでなく外見も対照的だといえる。百合子役を演じる伊藤沙莉は、身長152cmと小柄な体格で、セミロングの髪型をしているのに対し、ゆい役の佐久間由衣は身長171cmとスタイルが良く、黒髪のショートヘアがボーイッシュな印象を与える。先ほどあげた映画『アデル、ブルーは熱い色』でも言えることだが、違う価値観を持つ者同士だからこそ惹かれあい、そこに激しい恋愛感情が生まれるのだ。

 こうした王道の恋愛ストーリーは、過去に映画やドラマで多く使われてきた物語構造だが、それを女の子同士で行うことで新しい情景を生み出している。本作のイメージカットには、ベットでじゃれあう2人の様子が写し出されているのだが、そこには透明感がありながらも濃密な空気が感じられる。容姿も性格も対照的な二人が、今後どのような過程で惹かれあっていくのか。そして、二人の関係が深まるにつれ、その友人や家族などの登場人物はもちろん、世の視聴者はどんなリアクションを見せるのか。数々の恋愛模様を切り取ってきた『テラスハウス』制作陣の手腕も、大いに試されそうだ。

(文=泉夏音)

関連記事