川島なお美、女優としての仕事とその人柄ーー岡田惠和作品ではコメディのセンスも
また、タレントとしての振る舞いにも、独特のユーモアが感じられたという。
「当時、毒舌コラムで人気だったナンシー関さん(1962年~2002年)は、川島さんからある日突然、ワインが送られてきたというエピソードを披露しています。ナンシー関さんは川島なお美さんのこともたびたびネタにしていたのですが、川島さんはそれに対して怒るのではなく、大好きなワインで返答したんですね。ナンシー関さんが「このワインは挑戦状なのか? 懐柔策なのか?」とみんなで議論した。と、面白おかしく書いていたのをすごく覚えています。後に川島さんは『評伝ナンシー関』(著・横田増生)の中で、ナンシー関のコラムに対して「愛情の裏返しと解釈していた」、ワインを送った理由については「感謝をこめたラブレターに等しいものでした」とコメントしています。どこまで本音だったのかは、今となってはわかりませんが、彼女自身のキャラクターを踏まえた、とても気の利いた返答だなぁ。と、感じたものです。自分が世間から、どのように見られているのかに対し、とても自覚的で、しかもそれをプラスに転じることができるのも、川島さんの強みであり、表に立つひとならではの振る舞いだったのではないでしょうか」
「私の血はワインが流れている」などの名言でも、世の中を楽しませてきた川島なお美。最後まで女優としての人生を全うした彼女の冥福を祈りたい。
(文=編集部)