スパイ映画『キングスマン』の見どころは? キャスト、プロット、アクションの魅力を解説

 とはいえ、この映画が「007」シリーズや「ミッション・インポッシブル」シリーズなど、他のスパイ映画と決定的に異なっているのは、基本的に「コメディ」であるということだ。スタイリッシュなアクション映画でありながら、そのテイストはあくまでもコメディ。特にクライマックス、宿敵ヴァレンタインのもとに乗り込んだエグジーが、大勢の敵を相手に繰り広げる壮絶な立ち回りは……って、ここでなぜ、ブライアン・フェリーのヒット曲「スレイブ・トゥ・ラブ」が優雅に流れるのか? などなど、その随所で音楽的な遊びも交えながら展開してゆく物語は、最後驚愕の展開を迎える。敵の頭が次々と……そのシーンには、思わず爆笑と喝采を禁じ得なかった。

 「007」シリーズや「電撃フリント」シリーズなど、過去のスパイ映画へのオマージュをいたるところに挟み込みながら、そのジャンルとしては“スパイ映画”というよりも、むしろ、同じくイギリスの映画監督であるエドガー・ライトの『ホット・ファズ−俺たちスーパーポリスメン!-』(2007年)や『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013年)といった“アクション・コメディ映画”と近い匂いを放っているようにも思える『キングスマン』。世界各国での高評価を受けて、早くも続編の製作が決定しているという本作は、ここ日本でも『キック・アス』を超える熱狂を生み出していくのだろうか? まずはその目で確認してもらいたい。

(文=麦倉正樹)

■公開情報
『キングスマン』
9月11日(金)全国ロードショー
監督:マシュー・ヴォーン
原作:マーク・ミラー
製作:Marv Films
出演:コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ストロング、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、ソフィア・ブテラ、ソフィー・クックソン、マーク・ハミル
配給:KADOKAWA
(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation  
R15+ 
公式サイト:kingsman-movie.jp

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