『ラブライブ!』映画はなぜロングヒットした? さやわかが作品の構造から分析

 映画『ラブライブ!The School Idol Movie』が6月13日の公開以来、観客動員数が150万人を超え、累計興行収入も22億円を突破するロングヒットとなっている。2013年に興収約20.8億円の大ヒットとなった『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』を凌ぐ記録となる。

 『ラブライブ!The School Idol Movie』は、「みんなで叶える物語」をキーワードにオールメディア展開するアイドルプロジェクト『ラブライブ!』シリーズの映画版で、TVアニメ最終話の続きの物語が描かれている。スクールアイドルの祭典「ラブライブ!」で優勝を果たし、活動終了を決めていたアイドルグループ「μ's(ミューズ)」が、一通のメールを受けて新たなライブを決意するというストーリーだ。

 いわゆる"美少女アニメ"となる本作が、ロングヒット映画となった背景にはどんな要因があるのか。アニメやゲームなどのカルチャーに詳しい評論家・ライターのさやわか氏に話を聞いた。

「今作が動員を伸ばした要因として、まずは映画館を訪れた観客に特典を配布したことが挙げられるでしょう。週ごとに違う特典が付いていたため、"ラブライバー"と称される熱心なファンたちは、映画館に行列を作り、何度も繰り返して本作を観たようです。現在のアイドルシーンでは、CDにイベント参加券などを付録にして売上げを伸ばす手法が一般的になっていますが、『ラブライブ!』シリーズもそうした手法を積極的に取り入れてきました。それを映画にも応用したことが、今作の動員に勢いを付けたことは間違いありません」

 しかし、同作がロングヒットとなったのは、「決してラブライバーたちが何度も観ているからだけではない」と、同氏は指摘する。

「先着の特典配布が終了した後も、今作は動員を伸ばし続けました。そして、その際に映画館で目立ったのは、女子中高生などの姿です。このことは、『ラブライブ!』がいわゆる"萌え文化"を愛好する男性ファンだけに訴求するものではなく、同世代の男女が共感し、応援できるコンテンツとしても消費されていることを示しています」

 『ラブライブ!』の登場人物は、これまでの"萌えアニメ"にも通じるタッチで描かれているが、そのストーリーはむしろ"スポコン漫画"に近い。『けいおん!』に代表される"空気系"といわれるオタク系コンテンツは、2000年代後半をピークに徐々に人気が落ち着き、その後は『ラブライブ!』のような作品が増加したという。たとえば人気アニメ『ガールズ&パンツァー』も、そうした系譜に連なる作品で、実際に原作者らは、1970年代に発表されたちばあきおのスポコン漫画『キャプテン』を参考に同作を作り上げたそうだ。その作風により、これらのアニメは従来とは異なるファン層を獲得することに成功したと、さやわか氏は分析している。