伊坂幸太郎、江國香織、恩田陸ら7名による書き下ろしアンソロジー『プレゼント』が27万部突破 新カバーも登場

 伊坂幸太郎、江國香織、恩田陸、梨木香歩、町田そのこ、宮部みゆき、米澤穂信の7名が「夏」をテーマに書き下ろした短編アンソロジー『プレゼント』(新潮文庫)が、発売から2カ月で27万部を突破した。あわせて9月より新カバー版が登場する。

 本作は、書店フェア「新潮文庫の100冊」の50周年を記念して刊行されたアンソロジー。半世紀にわたり読書の入口を担ってきた新潮文庫の節目に、より多くの人へ文学を届けることを目指した企画で、収録短編はすべて本書のための書き下ろし作品となっている。ミステリ、恋愛、ホラー、青春、ファンタジーなど多彩なジャンルが揃う。

 POSデータによると、一般的な文庫読者の中心となる40〜50代に加え、通常は比率の高くない20〜30代の購入者が全体の2割を超えているという。参加作家それぞれの既存読者層と比べても若い世代への広がりが見られ、併買書籍では小学館の文芸誌『GOAT Summer 2026』が1位となった。

 9月より登場する新カバーは、タイトルにもなっている「プレゼント」をモチーフにしたデザイン。リボンと「50th Anniversary of “100 Books Selected by Shincho Bunko”」の英字が入ったシーリングスタンプがあしらわれている。またカバーを外した本体表紙には、1976年に「新潮文庫の100冊」が始まった当時の小冊子をモチーフにした特別デザインを採用。長い新潮文庫の歴史のなかで、表紙を通常のものと変更したのはこの一冊のみとなる。

 収録作は、伊坂幸太郎「ウッドペッカー荘事件」、江國香織「二つの宇宙」、宮部みゆき「真実のトランク」、町田そのこ「きっとあの日の光と同じ」、米澤穂信「無明」、梨木香歩「見越しのマツ」、恩田陸「伝説の季節」の全7編。町田の「きっとあの日の光と同じ」は「コンビニ兄弟」シリーズのスピンオフ、恩田の「伝説の季節」はデビュー作『六番目の小夜子』の前日譚にあたる。

■コメント

伊坂幸太郎
もともと長編として書いていたのですが、いろいろな事情で完成しなかったものを、短編として作り直してみました。名探偵白河ヨフネの活躍を楽しんでもらえたら嬉しいです。

江國香織
ひさしぶりに青春小説を書いてみたつもりですが、老人小説になったような気がしないでもないです。でもあのあわあわとした夏の気配だけはあるかな、と思っています。

恩田陸
1992年の『六番目の小夜子』で関根秋、2002年の「図書室の海」で関根夏、そして四半世紀(!)経ってようやく関根春、と関根三きょうだいの高校時代を書くことができました。懐かしくてちょっとドキドキして、今はホッとしています。

梨木香歩
この小説を書いている期間、朝な夕な、「粋な黒塀 見越しの松に」というフレーズが繰り返し頭のなかで回り続け、少し困りつつ、いつの時代に生きているのか意識があやふやなまま過ごしていました。とはいえ、小説自体は現代が舞台です。お富さんとも関係がありません。楽しんでいただけたら嬉しいです。

町田そのこ
イチゴアイスのような、爆ぜる花火の光の雫のような、そんなひと夏の物語を書きました。テンダネスへようこそ。

宮部みゆき
この短編のネタは、ネット上のホラーやSFのフィクションをよく読んでおられる方にはお馴染みのものでしょう。はい、私自身もあの〝財団〟が登場する広大なシェア・ワールドのたくさんのエピソードの大ファンでして、自分も一度は参加できたらいいなあと憧れていました。でも、その設定に忠実に書こうとすると本当に難しくて、諦めざるを得ませんでした。今回、新潮文庫の永い歴史をお祝いする書き下ろしアンソロジーで、あの〝財団〟の世界に敬意を表するささやかな短編を書けたことに感謝しております。

米澤穂信
夏の意味が変わってきたと思う。行楽向きで、海や山に遊ぶのもいいが、涼しい風の通る部屋で文庫本を読むのもまた楽し――夏をそういう季節だと思っていた時代が終わりつつある、あるいはすでに、終わっているように思う。ではいま、夏は何の季節か。それを考えていたら、この小説になった。

■書誌情報
『プレゼント』
著者:伊坂幸太郎/江國香織/恩田陸/梨木香歩/町田そのこ/宮部みゆき/米澤穂信
価格:825円(税込)
発売日:6月24日
出版社:新潮社

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