55万円の超高額グッズも? 『王家の紋章』初公開のカラー原画も見れる50周年記念原画展レポ

 「連載50周年記念 『王家の紋章』原画展」が、2026年8月28日より東京・大阪・福岡の3都市を巡回して開催される。


 秋田書店「月刊プリンセス」にて、1976年から50年にわたり連載されている本作。33歳の筆者が生まれる遥か前から描き続けられてきたと考えると、その歴史の長さに改めて驚かされる。

 原画展は、作品を知るファンはもちろん、まだ読んだことがない人にも、その壮大な世界観と、50年を経ても色褪せない“少女漫画”ならではの美しさを感じられる展示となっていた。今回は、その見どころを紹介していく。


歴史 × 少女漫画 × タイムスリップを兼ね備えた名作の世界

 会場は章ごとに分けられ、簡単な解説も掲示されているため、作品を知らなくても物語の流れを追いながら展示を楽しめる。

 『王家の紋章』は、主人公のキャロル・リードが古代エジプトへタイムスリップし、エジプト王・メンフィスと恋に落ちていく物語。しかし、現代の知識を持つキャロルは、古代の人々から見れば未来を知る“聖女”のような存在。その力に目をつけた各国の王たちも、キャロルをめぐって動き始める。少女漫画らしい恋愛を軸にしながら、やがてひとりの少女が世界の歴史をも動かしていく、壮大な歴史漫画。


 本展示では、時系列に沿って主人公・キャロルの変化も感じることができる。序盤は、メンフィスをはじめとする多くの登場人物に翻弄され、戸惑う表情を見せることも多い。ところが、物語が進むにつれて、次第に迫力と神々しさを身につけていく。その変化にも注目だ。

 単に可愛らしい少女として描かれるのではなく、見知らぬ土地・時代に身を置きながら、さまざまな人との出会いや経験を重ねて成長していく。ひとりの少女の「成長物語」として楽しめることも、本作の大きな魅力なのだろう。


 そんなキャロルと恋に落ちるメンフィスだが、王という立場ながらキャロルへの独占欲も隠そうとしない。そんな姿からは、王でありながらも、恋する青年らしい初々しさを感じる。

 また、黒髪のロングヘアは動くたびに大きくなびき、キャラクターに躍動感を与えている。凛々しい眉も印象的で、その動きや形から、メンフィスの激しい感情まで伝わってくるようだ。

 そして、そんなメンフィスと対照的な存在であり、ライバルでもある重要人物が、ヒッタイト帝国の王子・イズミル。冷静ながら彼もキャロルへの想いを秘めた人物であり、その端正な顔立ちと落ち着いた佇まいからは、メンフィスとはまた違った色気を感じさせる。

時代を超えて復活した貴重な“巨大カラー原画”も初公開

 筆者が本作の原画を前にして、まず惹かれたのがキャラクターたちの瞳だ。吸い込まれるような強さがありながら、瞳には小さな煌めきが描かれている。さらに、その煌めきは目元だけでなく身体全体にも散りばめられており、まるでキャラクター自身が光を纏っているような美しさと儚さを感じる。

 また、髪の毛も1本1本細い線で描かれており、作品のなかで揺れ動いているように見える。絵画のような1枚絵も、よく見ると繊細な線が積み重なって描かれていることがわかり、どの原画も見応えがあった。

 カラーとモノクロ、2種類の原画を見比べられるのも面白い。モノクロ原画は白と黒のコントラストが際立ち、歴史物語の不穏な展開や、キャラクターたちの激しい感情に引きずり込まれるような迫力がある。

 一方、カラー原画は意外にも淡い色使いが中心だ。どこか幻想的な雰囲気で、モノクロとはまた違った魅力を放っている。ひとつの作品でありながら、「重厚さ」と「少女漫画ならではの繊細さ」を同時に味わえるのも、本展示の魅力だろう。

 そして、本展示の注目ポイントが、今回初公開となる、1980〜90年代にポスター用として描かれた巨大なカラー原画だ。長い年月を経た現在、修復作業を施されてよみがえったという。会場では、その修復の過程も映像で紹介されており、原画がふたたび人の目に触れるまでの裏側を知ることができる。半世紀以上にわたって受け継がれてきた「漫画文化」の一端にも触れられる、貴重な展示となっていた。


 グッズ売り場には、55万円(税込)の『直筆サイン入り金箔アート』という、もはや美術品とも呼べる豪華な一品から、メンフィス、イズミル、キャロルをポップにデザインしたアイテムまで、充実したラインナップが並んでいる。作品の舞台である古代エジプトにちなんだデザインも多く、ファンから初心者まで手に取りたくなるようなグッズが揃っていた。

「直筆サイン入り金箔アート」※写真はサインを入れる前の状態

 今回の展示について、作者の細川智栄子あんど芙〜みんも「世界一周旅行の飛行機から見たエジプトの素敵な景色に感銘を受けて始めた『王家の紋章』でしたが、二人で話を考え、話し合い納得の行くまで書き直して、支え合いながら気づけば50年経っていました。自宅に取っておいた原画が、こんなに綺麗に展示されているのを見て心がいっぱいです。夢中でやってきたのでこんな書いているのかと自分たちでも驚きです。多くの方に楽しんでいただけると嬉しいです」とこれまでの歩みを振り返っている。



 なぜ『王家の紋章』は50年にわたって愛され続けてきたのか。その魅力を、原画やキャラクターの描写から紐解きながら、同時に漫画の歴史にも触れられる貴重な原画展となっている。作品を知っている人も、これまで読んだことがない人も、ぜひ会場でその世界観を味わってみてほしい。

展示されているグッズ

■開催情報
「王家の紋章 原画展」

<東京会場>

日程:2026年8月28日〜9月13日

場所:有楽町マルイ8F イベントスペース(東京都千代田区有楽町2丁目7-1)
<大阪会場>

日程:2026年10月9日〜10月25日

場所:なんばマルイ5F イベントスペース(大阪府大阪市中央区難波3丁目8-9)
<福岡会場>

日程:2027年1月16日〜1月31日

場所:博多マルイ7F イベントスペース(福岡県福岡市博多区博多駅中央街9-1)

入場料:2,200円(税込)
公式HP:https://ouke50th.fundom-event.com/

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