【漫画】美人でシゴデキのOL、いつも憂いているのはなぜ? 予想外の過去が明かされる『めっちゃホリデイ』

 美しいけれど、いつも憂いている女性OL。彼女が転落していく物語『めっちゃホリデイ』がXでバズっている。

 どこか昔話のような質感を持つ本作を生み出したのは、ラブ丘まりさん(@mariloveoka)。普段は紙芝居を作って上演しているという彼女は、なぜ漫画を描いたのか。その裏側に迫った。(小池直也)

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『めっちゃホリデイ』(ラブ丘まり)


――1万を超える「いいね」が集まっていますが、これについていかがでしょう。

ラブ丘まり(以下、ラブ丘):私はフォロワーも少なく、本作も華々しいものではないので、たくさんの方が読んでくださったことに驚きました。

 ただ、Instagramでは2桁ほどの「いいね」だけなんです。それでも普段の私の投稿よりは多い方ですが、SNSのタイプによっても反応が違うんだなと感じました。

――普段は紙芝居やイラストの制作を主にされているとか。

ラブ丘:実は子どもの頃の夢が漫画家だったんです。でも、コマ割りが難しくてなかなか描けずにいました。それでも「絵と物語の表現をしたい」という欲求はあって、大学生のときに紙芝居を作って上演するようになったんです。そのうち漫画を描きたい気持ちは薄れ、紙芝居の上演を10年以上続けるうち、なんとか食べていけるようになりました。

――なるほど。

ラブ丘:しかしコロナ禍もあり、数年前に休業、生まれ育った東京を離れ、地方に移住しました。今もときどき紙芝居の上演をしますが、以前のように収入源にはしていません。

 既に私は中年となり、安定した職もなく、生活は崖っぷちなんです。でも開き直って好きな絵を描いたり、歌や映像を作ったりしています。

――なぜ漫画に取り組まれたのでしょう?

ラブ丘:最近「作りたい」という気持ちが上回って取り組みました。描いてみて、やはり紙芝居よりも焦れったい方法だなというか、声音や間で伝えられるところを二次元に落とし込む、根気のいる作業だと思いました。

 ただ、漫画は読み手のペースに委ねられるところがあるじゃないですか。だから、ねっとりどんよりしたものや拍子抜けするようなもの、腰を据えて見せたいものを作るには適した方法だなと個人的に感じます。

――このどこか古風だけど現代的で不思議な物語の着想はどこから? 制作のきっかけなどもあれば。

ラブ丘:ここ数年、レディースコミックにハマっており、自分なりのレディコミのつもりでこの漫画を描きました。

 レディコミには、傲慢な女が転落する物語が多く見られます。「メッキが剥がれて醜い中身が露呈する」という形式は昔話にもよくありますが、そこに爽快さと少しの羨ましさを感じます。「人間の醜さ」とは「自由さ」なのかもしれない、と思って描きました。

――眉毛のないキャラデザインは平安時代のオマージュ?

ラブ丘:眉毛がないのは、指摘されて気づきました。紙芝居ではずっと眉毛のない顔を描いていたので、眉毛がないのがデフォルトになっています。

 あまり覚えていませんが、おそらく初期の頃は、眉毛を描くことで表情を説明しすぎるのがイヤだったのだと思います。今後は眉毛があっても納得のいく表情が描ければいいなと思います。

――後半の展開も思い切りがいいなと思ったのですが、これについてはどんな狙いが?

ラブ丘:特に狙いはなく、「こうなるしかなかった」という感じです。最初に考えた話では、主人公・松下あや子が解放され、傲慢で強欲な女になり、世間の評判を落としていく、という流れになるはずでした。

 しかし描いているうちに、「解放された人間が社会的に価値のあるものを望むだろうか?」と思えてきました。考えていた枠組みを外し、松下あや子の解放に焦点を当てた結果こうなりました。

――ラブ丘さまにとって本作で気に入っている場面はどこでしょう。

ラブ丘:ラブ丘:18ページの3コマ目です。この場面の河童の手が気に入っています。

――昔話や古風な内容に惹かれるとしたら、それはなぜですか。

ラブ丘:昔話には、「なんでそうなるかわからないが妙に納得してしまう」という手触りがあるからです。

 ただ、現代の作品にもそういうものはたくさんあると思います。「理解」ができる物語より、肌に絡み付く感触や余白のあるものに魅力を感じます。

――今後また漫画作品を作るお気持ちはありますか。

ラブ丘:現在、すでにまた漫画を描いています。工場でパートする中年女性の話です。実際に私が工場でパートをしていて、思い浮かびました。

 あとは、河童を主人公にした話も考えています。地味な漫画になると思いますが、とりあえず頭の中にあるものを出していきたいです。

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