ヴィヴァルディの“知られざる素顔”描く イタリア文学賞受賞作が新装刊行
ティツィアーノ・スカルパ著、中山エツコ訳『ヴィヴァルディと私』(河出書房新社)が5月19日(火)に発売された。
本書は、2011年に同社より刊行された『スターバト・マーテル』を改題し、新たな装丁で世に送り出すもの。著者のティツィアーノ・スカルパは2008年に本作でイタリア最高の文学賞であるストレーガ賞、ならびにスーペルモンデッロ賞を受賞している。
物語の舞台は18世紀初頭のヴェネツィア。生まれてすぐに赤ちゃんポストに置き去りにされ、養育院で孤独に暮らす少女チェチリアは、卓越した音楽的才能の持ち主だった。新人の音楽教師として現れたアントニオ神父――のちのアントニオ・ヴィヴァルディは、彼女の才能をすぐに見抜くと同時に、激しい嫉妬にかられていく。謎の多いヴィヴァルディの生涯の一時期を、孤独な少女の目から描き、ヴァイオリン協奏曲「四季」誕生の秘話にせまる一作である。
著者のティツィアーノ・スカルパは1963年、ヴェネツィア生まれ。1996年に小説第一作『Occhi sulla graticola(焼きつく目)』を発表して以来、小説、評論、エッセイ、詩、戯曲など多数の著作を発表しており、現在イタリアでもっとも活発な作家のひとりに数えられる。小説作品にはほかに『Kamikaze d'Occidente(西洋のカミカゼ)』『Le cose fondamentali(大切なこと)』などがある。
訳者の中山エツコは1957年東京生まれの翻訳家。訳書にE・モランテ『アルトゥーロの島』、D・ブッツァーティ『モレル谷の奇蹟』、T・ランドルフィ『月ノ石』、『ムナーリの機械』などがある。装丁は大倉真一郎が手がける。
あわせて、本書を原作とする映画『ヴィヴァルディと私』が5月22日より、シネスイッチ銀座、テアトル梅田ほか全国の映画館で順次公開される。監督は、オペラ演出家として活躍し、ミラノ・コルティナ冬季五輪開・閉会式でクリエイティブ・ディレクターを務めたダミアーノ・ミキエレット。チェチリア役を演じるのは、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演女優賞と新人賞を受賞したテクラ・インソリア。アントニオ・ヴィヴァルディ役には、映画と舞台で活躍する実力派俳優のミケーレ・リオンディーノが起用された。
■書誌情報
『ヴィヴァルディと私』※旧題『スターバト・マーテル』
著者:ティツィアーノ・スカルパ/訳:中山エツコ
価格:2,420円(税込)
発売日:2026年5月19日
出版社:河出書房新社
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