【漫画】「好き」って言っちゃいけない相手って? エモエモ青春読切『ままごとみたいなラブソング』
「好き」にはいろいろな形がある。Xに2月中旬に投稿された『ままごとみたいなラブソング』では、確実に私たちの身近に存在する「好き」が描かれている。
そこそこ知名度のあるミュージシャンの友人・環(たまき)からギターを教わっている女子大生・葩(はな)。環の歌う歌はどこか切なく、それでいて他者を遠ざけるような態度が気になり、葩は環のことを知ろうと接するが――。
近くて遠い2人の距離感が心地良くも切なくさせる本作の作者・晒粉さん(@sugokunetaiyo)に制作の裏話などを聞いた。(望月悠木)
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アロマンティックのキャラを描きたかった
――なぜ『ままごとみたいなラブソング』を制作したのですか?
晒粉:もともとアロマンティック(※)のキャラクターと、「恋じゃなくても貴方が好き」みたいな物語を描きたくて、今回制作に取りかかりました。女の子同士の連帯や、言語化が難しい寂しさも含めた、色恋が介在しない無条件の愛情といったストーリーになりました。
※他人に恋愛感情を抱かないセクシュアリティを指す
――ギターを通した2人の女性の物語でしたね。
晒粉:最初の構想が、「バンドマンの女性が、ラブソングが作れないことを煽られたことをきっかけにマッチングアプリで男性と出会うことになり、その後紆余曲折を経て自分がアロマンティックであることに気付いていく……」みたいな内容で、それらが世界観やキャラクター設定のベースになっています。
――葩と環の心の距離に焦点を当てながら、ストーリーが展開されていきました。
晒粉:「誰かのために歌った歌は、弾いたギターは、きっと恋じゃなくてもラブソングだよね」というセリフを一番最初に考え、そこから前後が繋がるようにストーリーを考えました。最初に構想していた段階では、このセリフは環が発するものでしたが、最後までいろいろな部分が二転三転しつつ、なんとか完成しました。
――葩と環というキャラはどう決めていったのですか?
晒粉:両者とも明瞭なモデルはいませんが、自分が考えている環の寂しさの核については、自分自身の経験も含まれているように思います。葩はシンプルに、私が描きやすくて私が好きそうな女性キャラクターを考えながら描きました。
――キャラデザについては?
晒粉:もともと環は“女性ウケするビジュアル”という構想だけがありました。また、途中でたまたま自分のXに「そばかすメッシュのお姉さん描きたいね!」といった下書きが残っていたのを発見して、今の形になりました。葩は「ちょっと派手な色のインナーカラーをしていると若い子っぽいよな」とか思いつつ、今の形に仕上がりました。前髪が短いのは私の趣味です。
――「寂しい」と言えない寂しさなど、環の心情の揺れ動きが印象的でした。
晒粉:発露したい感情のキャパシティは常にスレスレで、簡単に吹きこぼすこともできるけど、同時にそれを吹きこぼすことによる加害性を自覚しているキャラクターで、そこは意識して描きました。音楽をやっていることも、作っている曲が葩曰く寂しいのも、途中「寂しくない人は、ギターなんか弾かなくていいんだよ」からすぐに「今の〜なしっ!」と言えるのも、そのことを自覚しているからだと思います。それと同時に、「アレは環が本気でそう思っているのか?」と聞かれると、そういうわけでもないと思います。
――「百合作品」ではなく、友情に焦点が当たった内容でした。葩と環の2人の距離感を描くうえで注意したことは?
晒粉:「絶対に本作を読んだ人に『百合でしたね!』とだけは言われたくねぇ!」という意識を全力で込めて描きました。実際のところ、読んだ人がどう受け取るかは個人の自由だと理解も承知もしていますが……。
――今後の漫画制作の予定を教えてください。
晒粉:今回描いた『ままごとみたいなラブソング』と、それ以外の他3作品を含めた再録集を、次回コミティア(COMITIA156)で頒布予定です! 描き下ろしもゲスト原稿も諸々入る予定です! また、しばらくは「自分が描きたい!」「描けるぞこれ!」と思ったものを中心に、漫画媒体を問わず、いつでも描ける人でありたいと思っています。あと、どのタイミングでも問わないので、常に読切が描きたいです。