【漫画】道端で無防備に寝ている女子高生の正体は? 社会人に起こる非日常を描く『変身ピクニック』
道端に寝ている女子高生と話したら、自分も女子になっていた――。士隼久さん(@sivayaque)がXに投稿した読切漫画『変身ピクニック』は、中身は男性の“女子”ふたりの、不思議なやりとりを描く短編作品だ。
漫画教室の課題として制作されたという本作は、見開きに向かって物語が加速していく構成も印象的だ。この作品に込めた意図や制作の背景について、作者本人に話を聞いた。(小池直也)
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――制作のきっかけを教えてください。
士隼久(以下、士隼):本作は現在通っている「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」の課題として描いたものでした。実は本業でアニメーションの制作をしていて、特にミュージックビデオを作ることが多いんです。でも断片的なセリフやナレーションを使わない表現ではなく、物語や言葉の要素があるものを作りたいと思い、今は漫画を学んでいるところなんです。
――課題のテーマなどはありましたか?
士隼:「テンポとリズム、そして見開き」という技術的なものでした。「リズムが大事」という話は教室のなかでよく言われますね。内容に関しては特に指定がなかったので、「見開きページに向かって盛り上げる」という形式を意識して描きました。
最初の見開きは女の子に変身して驚く場面なので、「そんなわけない」というタメを丁寧に描いています。次はオチの部分ですね。その前までの流れでストーリー自体は終わっているので、畳みかけるような「物語性のあるイラスト」にすればいいのかなと。
――男性ふたりが女性になってしまう、というアイデアについても気になります。
士隼:釣りやキャンプなど、おじさんがやりそうな趣味を女の子がやるという作品は近年多いと思うんです。それを逆転させつつ、途中で変身するというような工夫を入れました。いわゆる“勝ち組”と呼ばれる人はいいですが、負けとされる側のおじさんって辛い立場にいるなと思うんです。
個人的には、そういう人が読んで元気づけられる作品が必要な気がしているんですね。だから自然と、おじさんが変身するというストーリーになったのかなと。
――最初の「あんたは筋がいい」というセリフも、おじさん的で効いていますね。
士隼:次の展開へ進めるために「なりたい自分を想像してみな」と無茶なことを言わせてはいるのですが(笑)、意外と自然に読んでもらえたようで安心しました。
――それにしてもなぜ、相手のおじさんは女子高生になっているのでしょう。
士隼:なぜかわかりませんが、「漫画の読者は女子高生が好き」と聞いたので、そのアイデアを使わせてもらいました。社会で難しい立場にいるおじさんの心境が現れているような気もしなくもないと思ったんです。
――それは画像加工で自分を女性にする男性とどこか重なるような。
士隼:中高年の男女を比較すると男性の方が明らかに友達が少ない、というデータがあります。男性も友達を作りたくないわけではなく、作れないだけだと思うんですよ。その願望が本作のなかで「女子高生になる」という形になっているのかもしれません。また「女子高生がビールを飲んでいる」という描写もこの設定ならいけるなと思って描きました。
――2月には「COMITIA155」に出展されるということで、意気込みを教えてください。
士隼:短編漫画アンソロジー『絶対、言えない。』を販売予定です。人に言えない秘密を抱えた主人公たちが出てくる作品を、いくつか収録しているのでぜひ見に来ていただければ。
新刊『絶対、言えない。』 X(@teamC_hirameki)より