【漫画】趣味・友情より子供が大事、だけど……人生に彩りを取り戻してくれるセミフィクション『40歳の色』
子供が生まれると、親としての役割が生活の大半を占め、自分が誰であるのかを自覚しにくくなる。そんな時、自分を自分たらしめてくれるのは友達なのかもしれない。
Xに投稿された、たかはし志貴さん(@shikiism)が手掛けたセミフィクション作品『40歳の色』を読むと、“かつての友達”に連絡を取りたくなってしまう。育児中の心情や友達の重要性を描いた本作の制作経緯などについて、たかはしさんに話を聞いた。(望月悠木)
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“母”という立場の不思議さ
――なぜ『40歳の色』を制作しようと思ったのですか?
たかはし:とある企業が募集していた“女の友情”をテーマにしたコミックエッセイに応募するために描きました。ネームはできたものの、作画にモチベーションが湧かず、ボツにしかけていたのですが、「せっかく描いたし」と思い直し、何とか仕上げました。
――友達という存在がいかに人生を彩ってくれるのかを示す内容でしたね。
たかはし:望んだ結婚をして主婦になり、出産をして家庭を持ったはずなのに、どんどん自分がなくなっていく“母”という立場の不思議さ。それをまた1人の“私”に戻してくれるのは、昔一緒にいた友達なんだと、日々の生活で感じていました。どちらが大事というわけではなく、生き生きとさせてくれる友達という存在は自分にとって不可欠だと思い、残しておきたかった作品です。
――本作はノンフィクション作品ではなく、セミノンフィクション作品とのことですが、どの辺りにオリジナル要素を加えているのですか?
たかはし:キャラクターや構成です。主人公は私と考え方が違い、出来事などは自分の経験をベースに、主人公の感情は大衆に寄せる意識で描きました。
ノンフィクション作品を描く面白さ
――「結婚さえしなければ……」という見られ方をする可能性がありますが。
たかはし:商業漫画家として活動する中で、「伝えたいことが読者にうまく伝わらない」ということを何度も経験してきました。ただ、最近はある程度描きたいように描いて、感想は読者に委ねようと思っています。本作を読んで「やっぱり結婚しないほうがいいな」と思う人もいるかもしれません。その一方で「それでも自分は結婚したい」と思う人もいるかもしれません。受け取り側の自由だと思っています。
――フィクション作品と比較して、ノンフィクション作品を描く際に気をつけていることは?
たかはし:他人を貶めないように描くことです。なるべく自分がオチになるように、自分の失敗や、それによる結果を描くように心がけています。たまに家族はオチにしていますが、やっぱり他人という意識が薄いのかもしれません。
――また、ノンフィクション作品やセミノンフィクション作品を多く制作されていますが、それらの作品を制作することの魅力を教えてください。
たかはし:もともと記録のつもりでエッセイ漫画(ノンフィクション作品)を描き始めたので、残したい記憶を漫画という形で保存できるのが良いところだと思っています。また、等身大の出来事が多いので、人に共感してもらえたり、経験が誰かの役に立ったりする可能性があるのも、エッセイ漫画の良いところだと思います。
――“かつての友達”との向き合い方を教えてください。
たかはし:まず「連絡を大事にしよう」と思っています。連絡を断たないようにして、遠くの友達には誕生日などに必ずお祝いメッセージを送るようにしています。連絡せずにいると、次に連絡を取る時にためらってしまうので。それだけで疎遠になってしまうのは悲しいですよね。
――今後の漫画制作における目標などは?
たかはし:3月に発売される雑誌でリレーエッセイ漫画を描かせていただきました。また、ママ向けサイトで原作付きの漫画を毎月描かせていただいています。詳細はXをチェックしてもらえればと思います。あと、同人活動ではエッセイ漫画をメインに活動中ですが、仕事はエッセイに限らず、今回のようなセミフィクションや創作でも、どんどん仕事ができれば良いなと思っています!