ジャンプ+の異色すぎる新連載が話題に! 誰も見たことがない“ヤンキー×ガチャ”マンガ『ガチャンキイ』
11月11日から『ジャンプ+』で連載が始まったマンガ『ガチャンキイ』が、大きな注目を集めている。同作はアーティスティックな画風や懐かしのヤンキーギャグ、現代的なガチャ文化など、さまざまな要素を“闇鍋”のように融合した異色作だ。
本稿ではネクストブレイクの可能性を強烈に感じさせる同作の魅力について、掘り下げていきたい。
物語の舞台となっているのは、偏差値9という驚異の学力を誇る不良校・十戒学園。主人公の佐護は「ブリーダー」と呼ばれる不良に首輪をつけられ、犬のように散歩させられる日々を送っていたが、腕っぷしが弱いためそこから抜け出すことも絶望的だった。
そんなある日、佐護は自分のクラスに次々と転校生がやってくることに着目。神社で願掛けを行い続け、「ブリーダー」を倒せる力を持った“SR転校生”を引き寄せようとする……。
学園内の描写はあまりに馬鹿げており、新たに学園を支配した転校生が通貨の廃止や修学旅行の週イチ化を実施しようとするなど、振り切ったギャグ描写が展開していく。この点だけ見ると、『魁!!クロマティ高校』や『エリートヤンキー三郎』のような不良描写を誇張するタイプのヤンキーギャグマンガに近いだろう。
しかしその一方で話の中心となっているのは、「転校生ガチャ」という斬新すぎる要素だ。自分が鍛えて不良を倒すのではなく、“神引き”に期待するという主人公像はかなり衝撃的な導入だった。しかも第1話ラストの時点で、SF的な世界観から飛び出してきたような転校生・三星きら星が登場。まったく先を予想できない展開が次々と繰り出され、読者をさらなる混乱に巻き込んでいく。
さらに同作が面白いのは、物語の次元だけでなく、作画レベルでもジャンルの混交が見られること。そもそも作者・下元朗は松本大洋を連想させるようなアーティスティックな画風で、白とベタのコントラストをスタイリッシュに使いこなしているのが特徴的だ。その上で三星きら星の作画については画風を変えて、別の作品からやってきた美少女ヒロインとして描いている。
あらゆるテクニックを総動員して作り上げられた作品世界は、まさしく唯一無二の作風となっていて、今後の展開にも大いに期待が高まる。
はやくもSNS上では大きな反響が上がっており、そのなかには人気漫画家たちの姿も。たとえば『ふつうの軽音部』の原作担当・クワハリは連載が始まった当初から「下元先生の新連載、1話からめちゃくちゃ面白いし展開が全然読めなくて続きが楽しみすぎます」「唐突にキン肉バスターが出てきたところでもうこの漫画のファンになってしまった」と絶賛し、その後も毎回感想を投稿している。
さらに『うえきの法則』や『サイケまたしても』の福地翼、『おぼろとまち』の石ト悠良なども、同作に言及していた。
ハードボイルドマンガから作風が一転? 驚きの引き出しの多さ
なお作者の下元朗は、2024年10月から『ジャンプ+』で『SMOTHER ME』という作品を連載していた。
同作は「蛇」というコードネームを付けられた13歳の殺し屋を主人公とした物語で、ジャンルとしてはハードボイルドに近い。子どもが大人から搾取される地獄のような街で、大切なものを守るために死闘を繰り広げていくというこの上なくシリアスなストーリーだ。
スタイリッシュな作画やセリフ回しも大きな特徴で、『ガチャンキイ』とはまったく違った作風だった。そのため前作から作者のことを知っていたファンのあいだでは、あまりに大きな作風の振れ幅に驚く声も上がっているようだ。
その一方、2024年1月に発表した『ハイハイレーサーズ』という読み切りは、乳児たちがハイハイでレースする競技に全力を懸けるという斬新なギャグマンガ。また『生徒と徒』という読み切りは、青春の切なさを感じさせる佳作だった。
すなわち下元は、元々多様なジャンルを高いレベルで出力できる作家だったように思われる。その引き出しの多さが、ジャンルの闇鍋的な作品である『ガチャンキイ』を生んだのではないだろうか。
また『ジャンプ+』といえば、幅広いジャンルの作品を掲載していることでお馴染みの媒体。だからこそ、いくつものジャンルを横断した『ガチャンキイ』のような異色作が登場する余地があったのかもしれない。
『ダンダダン』や『SPY×FAMILY』に続くヒット作になる未来を期待しつつ、奇天烈な世界がどこまで広がっていくのか見守っていきたい。