ドゥルーズによる“幻の”絵画講義が蘇る! 『ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について』
ジル・ドゥルーズ『ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について』(宇野邦一訳/河出書房新社)が11月19日に発売された。
近年、現代思想を代表するフランスの哲学者ドゥルーズ(1925-1995年)が残した講義の音声や文書記録をもとに、その書籍化が本国で進んでいる。今回の『ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について』は、その記念すべき日本語訳第1弾だ。
ドゥルーズが生前に発表した絵画に関する著作は、『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(1981年)のみだった。同年にサン=ドニ(パリ第8大学)で行われた講義をまとめた今回の“新刊”は、既刊書では凝縮されていた議論がより詳細に展開され、さらにはその場でしか聴けない大胆なアイデアも含まれる。
本書で言及されるのは、フランシス・ベーコンだけでなく、現在開催中の美術展で話題のゴッホや印象派から、ミケランジェロやカラヴァッジョなどのイタリアの巨匠、カンディンスキーやモンドリアンやポロックなどの抽象画家までと幅広い。そんな数多くの画家の仕事を斬新かつ深遠な視点で読み解き、「ダイヤグラム」「コード」「デジタル/アナログ」「変調」といったオリジナルの哲学的概念を提示しながら考察を繰り広げる。
また本書には、講義録を編集したダヴィッド・ラプジャード(ドゥルーズ晩年の愛弟子のひとり)によってドゥルーズ主要著作との関係や議論の背景がよくわかる詳細な注釈が加えられており、入門者にも最初の一冊としておすすめだという。
■書誌情報
『ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について』
著者:ジル・ドゥルーズ
編者:ダヴィッド・ラプジャード
訳者:宇野邦一
価格:4,180円(税込)
発売日:2025年11月19日
出版社:河出書房新社