【漫画】大正時代、女学生と娼婦が出会って……結婚が当たり前だった時代の令嬢に共感『カナリアは綺羅星の夢をみる』
大正時代、夢見る女学生と異人の娼婦が出会ったら――。和洋が混ざりあい、新たな文化が花咲いた時代を舞台にした漫画『カナリアは綺羅星の夢をみる』の第1話が、Xで2万以上のいいねを集め話題を呼んでいる。
ふたりの主人公の葛藤と憧れ。時代を超えて読者を揺さぶる本作について、作者・sheepD(@sheepD_)さんに聞いた。(小池直也)
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――2万以上のいいねが集まっていますが、ご自身としてはいかがですか。
sheepD:思っていた以上の多くの方々に読んでいただけて、驚くとともに嬉しい気持ちでいっぱいです。大正時代という時代設定と女学生×異人の娼婦の組み合わせが目を引いていただけた要因かなと。
漫画のポストは、簡潔にまとめた人の興味を引く文章も重要だと思うのですが、そこに関しては担当編集さんのアイデアになっています。
――なぜ大正時代を舞台に選んだのでしょう。
sheepD:昔から続いてきた古風な日本文化と、新しい近代文明が混ざり合い花開いた興味深い時代。そこにもともと魅力を感じていました。人の価値観も揺らぎが大きかった時期かとも感じます。
女性は結婚するのが当たり前という時代にセクシャリティも含め、「結婚とは違う道を進みたい」ともがいた人がいたはずです。現代にも通じる問題ですが、より縛りの厳しい時代にそういった女性がどう生きていくんだろうと考えたことが制作のきっかけです。
――物語はどのように考えられましたか。
sheepD:「正反対の境遇に置かれた少女ふたりが、自分を縛った籠からどう飛び立っていくのか」をテーマに、担当編集さんにも助けていただきながら作っています。
――時代考証などもされている?
sheepD:史実ものを描いているわけではないのでファンタジー要素も入っていますが、参考になる資料は色々と読んだり取り寄せたりした上で物語を作っています。例えば大正時代に子供時代を過ごした方の自伝や、遊郭に住んでいた方の著書、華族令嬢のインタビュー本など。
――主人公・文乃や異人の娼婦・椿姫のキャラクターはどのようにアイデアを膨らませていきましたか。イメージした人などもいたのでしょうか。
sheepD:文乃はテンプレの大正時代の女学生という感じで、椿姫は特にモデルはいません。趣味で描いたキャラクターイラストを基にお話を作ることが多いのですが、文乃と椿姫も同じくイラストから派生したキャラクターでした。
――制作で大変だったことなどがあれば教えてください。
sheepD:漫画連載が初めての経験なので、すべてが大変で勉強という感じでやっております。連載準備中にノリノリでデザインした衣装、特にフリルは「全部のコマに描くのか……」と気付いた瞬間に恐ろしく後悔しました。
――作画面でこだわっている点は?
sheepD:文乃は純粋で邪気のない子なので、笑顔が多く表情が素直にコロコロ変わるように描いています。椿姫は反対にお人形さんのイメージで、本心をあまり出さないようにしています。あと目を描くのが好きなので、まつ毛バシバシにこだわってます(笑)。
――もし大正時代に転生したら、何をしたいですか。
sheepD:やっぱり袴履いて女学校に通う女学生さんになってみたいですね。
――今後『カナリアは綺羅星の夢をみる』はどう描いていきますか。
sheepD:文乃と椿、ふたりの未熟だけど精一杯前に進んでいこうと頑張る姿を見ていただけるよう、私も未熟ですが頑張って描いていきたいです。