『ONE PIECE』ゴッドバレー事件の真相は? 過去編で迫るロックス最期の刻
※本記事は『ONE PIECE』単行本未収録の話の内容に触れる部分があります。連載を未読の方はご注意ください。
「週刊少年ジャンプ」本誌にて、ついに詳細が描かれている『ONE PIECE』のゴッドバレー事件。この事件はロックスがロジャー、ガープに討ち取られ、ガープが“海軍の英雄”になったきっかけと言われている。
天竜人による先住民一掃大会が開催され、囚われのシャッキー(シャクヤク)がいる地に次々と足を踏み入れる猛者たち。今回はゴッドバレー事件の注目ポイントについて、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。
「一番驚いたのは、ゴッドバレーにイム様が来ていたことですね。バーソロミュー・くまの過去編で断片が描かれるまで、ゴッドバレー事件は『ロジャーとガープが手を組んでロックスを討ち取った事件』とだけ表現されていました。イム様も登場して、想像以上の規模の事件だったことにびっくりしています。ロジャーとガープ、そしてロックスはそれぞれの思惑を抱えていて、ただの儲け話を中心に集まったわけではありませんでした。シャッキーや家族や悪魔の実をめぐる強者の戦いは楽しいです。またシャボンディ諸島で初登場したシャッキーに、まさかの過去があったことも面白かったですね。シャッキーとレイリーがあんな甘い恋をしていたとは。『ONE PIECE』ではハンコックを筆頭に数多くの美女が登場してきましたが、ここにきてまたド級の美女キャラクターを描けるのが尾田先生の凄さだなと思いました」
ゴッドバレーには、後に“世界最悪の犯罪者”とまで言われるあの男の姿があった。
「ゴッドバレー事件を描く過去編のなかで、思わぬ超重要キャラクターの過去が描かれました。それがルフィの父であり、ガープの息子であるドラゴンです。元々海兵だったドラゴンは海軍のゴッドバレーでのおこないに疑問を持ち、2人の赤ん坊を脱出させようと試みています。その赤ん坊がシャンクスとシャムロック。これまでシャンクスとドラゴンに関係はありませんでしたが、シャンクスの運命を変えたのはドラゴンだったのです。ここの繋がりが描かれたのはめちゃくちゃワクワクしましたね。そしてドラゴンはこのゴッドバレー事件をきっかけに政府を疑い、自勇軍そしてのちに革命軍を立ち上げることになったはず。そう考えると、気になるのはなぜガープはずっと海軍に所属し続けているのかです。ガープの性格であれば、ドラゴンのように政府を嫌い海軍を飛び出してもまったくおかしくありません。あの惨状を見た後もガープは海軍に所属し、それどころかルフィを海軍に入れようとしています。そこにも何か理由があるのではないでしょうか」
常に過去編の中心だった男に、最期のときが迫っているように感じる。
「家族を守るため立ち止まったロックス。彼はおそらくゴッドバレーでこのまま力尽きるでしょう。気になっているのは彼の顛末です。ロックスは、手を組んだロジャーとガープによって天竜人とその奴隷を守るために討ち取られたとされています。しかし実際のロックスは豪快で海賊らしさはあるものの、気持ちよくいい男ですよね。敵ではありますがハチノスでも交流しており、少なくとも現状ではロジャーと直接敵対する雰囲気はないです。ロックスの両親は、イム様の能力によって悪魔化されてしまいました。この“悪魔化”がロックスの最期を決めた肝になっている気がします。人の力を増幅し、性格を黒く変えてしまい支配するこの能力。もしロックスが悪魔化されてしまえば、ロックスのためにもロジャーやガープが彼を討ち取るという可能性はあると思います」
様々な思惑が渦巻くゴッドバレーで、妻と息子を守るために敵の前に立つロックス。彼はどのような顛末を辿り歴史から消されたのか、その最期に注目したい。