【漫画】オフ会におじ構文を使う美女が……？ ネットミーム満載のギャグ漫画『どしたん？話聞コカσ^_^;』が笑える
ギャップを作り出すことで、キャラの魅力を引き立てることができる。ただ、どのようにギャップを生み出すのかは作者のセンスが問われる。Xに投稿された『どしたん？話聞コカσ^_^;』は、“おじさん構文を口にする綺麗なお姉さん”という設定のキャラが登場する百合漫画となっており、これまでにないキャラ像が描かれている。
背筋がゾワッとするようなセリフを美人が発している、という“新食感”を味わわせてくれる本作をどのように制作したのか、作者の橘まなりさん（@manaridesuyo）に話を聞いた。（望月悠木）
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ネットミームから生まれた作品
――『どしたん？話聞コカσ^_^;』を制作した経緯を教えてください。
橘：本作は2021年9月に『まんがタイムきららフォワード』（芳文社）で発表した作品です。2021年7月に同雑誌でデビュー作の読切を掲載したのですが、その作品の反響が大きかったことから「締切まで3週間しかないけど9月発売号でも読切を描かない？」というお話を担当編集さんからいただき制作しました。
――おじさん構文がキーポイントとなる内容でしたね。
橘：当時「どしたん？話聞こか？」というフレーズがネットミームとして盛り上がっていました。ただ、こんなにミームとして盛り上がっているのに、このフレーズを使った漫画は私の知る限り見当たらず、「誰もやってないことをやったら面白いんじゃないか？」と考えました。とはいえ、私は男性キャラを描くのが不得意なので、「描くなら女の子同士がいいな」「それならおじさん構文を話す女の子にすれば」と思いました。
——2人でいろいろなところで遊び、たけおが自身が置かれている状況を話す、という構成でした。ストーリーはどう決めましたか？
橘：私自身、10代後半〜20代前半はSNSで知り合った同じ趣味を持つ同世代の友達に実際に会うオフ会をよくしていました。実体験をベースに、「連絡を取り合い実際に会う」「カフェで雑談する」「カラオケに行ったりショッピングモールでブラブラしたりしながら仲を深める」「心を許したタイミングで自己開示をする」というストーリーにしました。
——ラストの「実は同じ住宅に住んでいた」というオチは切れ味抜群でした。
橘：本作はあわよくばそのまま連載にしたかったので、読者さんがくるむとたけおの今後の関係性について、想像や妄想を膨らませられるような終わり方にしました。また、続きを描くなら恋愛要素を絡めたかったので、「２人の出会いは運命的なものだったんだよ」と強調したくて、あのオチにしました。ひとつ屋根の下で紡がれていく２人の関係性みたいな。
おじさん構文の習得方法
――くるむとたけおというキャラはどのように作り上げましたか？
橘：どちらとも私の性格を反映させています。私の中の基本は人見知りだけど心を許した相手にはおちゃらける部分はたけおで、ワクワクすることが大好きで好きな人と一緒に楽しい時間を共有したい部分がくるむです。また、キャラデザですが、私は金髪の歳上のお姉さんが好きなので、たけおにそのまま反映しました。一方、くるむは上京したばかりでまだ都会に慣れていない設定だったので、少し幼さを感じる服装にして、たけおを目立たせるために黒髪にしました。
——本作の肝であるおじさん構文を考えることは難易度が高そうですが。
橘：親しい友人や漫画家さんに「普段の会話をおじさん構文にして良いか？」と許可をとり、LINEや通話で一定期間おじさん構文で喋り、おじさんっぽい会話になっているかを判断してもらいました（笑）。とはいえ、昔から友達に「橘は会話がおじさんっぽい」と言われていたので、あまり難しく考えずに台詞を書き起こしていました。
——橘さんが気に入っているセリフはありますか？
橘：くるむがチーズハットグを食べながら「すごぉい！めっちゃ伸びる〜」と言っている横で、たけおが「褒めて伸ばすタイプってこと、カナ？！流石くるむチャン、ダナァ！」と言うシーンです。「チーズハットグ食べてるだけで、その褒め言葉は普通出てこんやろ」と思って気に入っています。
――今後はどういう作品を制作していきたいですか？
橘：可愛い女の子をたくさん描きたくて漫画家になったので、これからも可愛くて個性的な女の子が出てくる漫画を描きたいです。あとは夫婦で漫画家をしているので、「お互いおじいちゃんおばあちゃんになっても一緒に漫画を描き続けられたら幸せだな」と思っています。
また、『まんがタイムきららフォワード』からサキュバスの女の子と童貞の男の子の精神が入れ替わる漫画『サキュバスイッチ』の単行本が全3巻出ていて、現在『百合神さまの言うとおり！』（竹書房）というギャル×お嬢様の百合を見守る死神の漫画を連載していて、単行本1巻が11月17日に発売予定なので、チェックしてもらえれば嬉しいです。
©橘まなり／芳文社