MOROHA・アフロ × 詩人・黒川隆介、新刊イベントに又吉直樹と東出昌大が登場 “詩”と“言葉”を大いに語る

 音楽ユニット「MOROHA」のMC・アフロ氏と、詩人の黒川隆介氏。旧知の仲である2人が、同じ日に『東京失格』(アフロ/著、実業之日本社/刊)と、『生まれ変わるのが死んでからでは遅すぎる』(黒川隆介/著、実業之日本社/刊)の新刊を刊行した。そして新刊発売を記念し、2人は「自らの言葉を自ら届ける」ためにトークツアーへと出発、全国各地を巡って思い思いの言葉をファンに届けてきた。

 そして、2025年7月4日、旅の最終地点として選ばれたのが、歴史と静謐さを感じさせる「自由学園明日館」である。今回のツアーファイナルの豪華ゲストとして、俳優の東出昌大氏、お笑い芸人で作家の又吉直樹氏が登壇したスペシャルセッションは、約2時間に及ぶ濃密な内容に。作品に込めた想いをはじめ、アフロ氏のラップに黒川隆介氏のポエトリーディングという表現を通して見えてきた世界について、存分に語りつくすイベントとなった。

■全国を回って絆が深まった

 東京都豊島区西池袋にある重要文化財「自由学園明日館」の一角にあり、1927年に完成した講堂には、開場前から多数のファンが列を作っていた。「よろしくお願いします!」と一礼をして登場したアフロ氏。ポップで哀愁あるシンプルなピアノの旋律に合わせて、まずはラップを披露。「面白ければ売れる…面白ければ売れる…面白ければ売れるんだ…」と魂込めたラップが講堂内に響き渡り、アフロ氏のパフォーマンスと世界観にいきなり引き摺り込まれる。

冒頭から魂を込めたラップで会場の空気を一気に変えたアフロ氏

 その後静寂に戻った講堂内に黒川隆介氏が登壇。今回の『生まれ変わるのが死んでからでは遅すぎる』に掲載された詩「ショートカット」「コイントス」などを朗読。また、アフロ氏が黒川氏の「コイントス」から着想を得た詩「反論」、「父」から着想を得た詩「乾杯」を披露するなど、黒川氏の朗読とアフロ氏のラップという掛け合いとトークセッションという構成が続く。

アフロ氏の後に黒川隆介氏が登場。アフロ氏とは真逆とも言えるような自作の詩を、一つひとつの言葉を紡ぎながら朗読する
自由学園明日館は、国の重要文化財に指定されている。フランク・ロイド・ライトが設計をし、遠藤新が手がけた歴史的建築物だ

 2人にとって今回がツアーの最後であることを感慨深げに話し、重要文化財である会場の感想を「東京で一番静かな会場」「静けさがいとおしくなるほど」と静謐な舞台がとても気に入ったようで、これまでのツアーを振り返る。黒川氏は詩を何を読むかはその場で決めているそうで、本は持ってはいるが朗読する際には見ていないという独特のスタイルを語る場面も。ツアーの最中には、黒川氏が沈黙のまま詩を長く選んでいたことがあったそうで、本を捲る紙の音だけがずっと響いていたという。そのイベントの後にアフロ氏から「あの度胸はすごい」と褒められたことがあったことも良い思い出だと語っていたことも印象に残る場面であった。

 そして、2人のプライベートにまつわるトークを展開。黒川氏の飲みの席にまつわるエピソードや、アフロ氏がそれに付き合っているうちにお酒が飲めるようになり、気づいたらゴールデン街のバーで常連になっていた話など、会場も笑いが起こる和やかなムードになる。

2人のプライベートにまつわるトークでは、ラップと詩を朗読する姿とは一変。笑顔溢れる姿が多く見られた

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