『こち亀』1コマだけ登場した『ドラゴンボール』の人気キャラがいた!? 69巻「両さんメモリアル」の衝撃

■『こち亀』に登場していた伝説コラボ!

  数々の名作漫画を生み出してきた「週刊少年ジャンプ」。これまでに連載されてきた漫画のなかでも、鳥山明の『ドラゴンボール』は社会に与えた影響の大きさで最高の作品と言っていいだろう。そして、週刊少年漫画誌の最長連載記録を持っている作品といえば秋本治の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』だ。過酷な週刊連載にもかかわらず、秋本は一度も休載することなく完結させた。まさに漫画界のレジェンドである。

  さて、『ドラゴンボール』と『こち亀』は同時に「ジャンプ」で連載された期間が長く、また、ともに看板的な作品であった。そんなこともあって、実は『こち亀』の作中に『ドラゴンボール』のキャラクターが登場したことがあるのだ。それはフリーザ一味で、『こち亀』の69巻に収録された「両さんメモリアル」という話に1コマだけ登場し、『こち亀』主人公の両津勘吉(以下、両さん)と共演を果たしている。

  この「両さんメモリアル」は、両さんの子供時代から、警察官になるまでの回想が中心に描かれている。ところが、後半で両さんが中川や麗子など派出所のメンバー全員の前で「長い旅に出る」と告げ、警察官を辞めてしまう。そして、「長い間ご愛読ありがとうございました」というメッセージとともに、両さんが笑顔で手を振る絵が見開きで描かれているのだ。これを見て、ついに『こち亀』も最終回か…と思った読者は多かっただろう。

  ところが、ページをめくると、「あの両さんが帰ってきた!」というキャッチコピーとともに、タイトルが『新こちら葛飾区亀有公園前派出所』に改められ、両さんが派出所に戻ってくる場面が描かれている。もちろん最終回は嘘だった。派出所メンバーは怒り心頭で、両さんを「ほかの漫画にいっちまえ!」と、『ドラゴンボール』の世界へ送り出してしまったのであった。そして、フリーザを前にビビっている両さんが描かれ、物語は終わる。

  この伝説級の“偽最終回”は大きな反響を呼んだと言われる。読者からは抗議が殺到したと言われるが、実際のところはどうなのか、定かではない。だが、今では『こち亀』でも屈指の名場面として、ファンの間では人気の高いエピソードとなっている。

■両さんとフリーザは相性がいい?

  なお、『こち亀』と『ドラゴンボール』の縁は深く、再び両さんとフリーザが共演したことがあるのだ。それは『こち亀』の30周年記念本『超こち亀』の企画として描かれたもので、秋本と鳥山の合作である。両さんがナメック星の派出所に転勤させられるが、宇宙船の“駐車違反”をしているフリーザたちを見つけて声をかける。フリーザたちは両さんに攻撃を仕掛けるが、服がボロボロになるだけで、両さんは無傷だった。

 しかも、両さんのボロボロの服もすぐ再生された。両さんの勢いは止まらず、いきなり武器を出して反撃。フリーザたちも予測できない展開に衝撃を受けるが、これは両さんがギャグ漫画の世界のキャラだったためである。何をやってもかなわないと思ったフリーザは宇宙船に乗って逃げてしまったのだ。両さんの大勝利である。なお、両さんはその後、ナメック星に宇宙船でやってきた孫悟空にもしっかり“取り締まり”を行ったのであった。

 69巻ではフリーザを前に狼狽えていた両さんだったが、一方ではフリーザを圧倒している場面が描かれた。ここまでフリーザを圧倒したキャラは極めて希少である。両さんこそが宇宙最強、もしくは銀河系最強の存在なのかもしれない。

※記事初出時、各社配信サイトにおいて異なる内容の記事が配信されていました。訂正の上、お詫び申し上げます。(2025年5月15日12:51、リアルサウンド編集部)

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