【漫画】もしも”睡眠”の売買ができたなら? 惰眠が安眠に変わる『おやすみストレイシープ』の心地よさ


ーー3.7万を超えるいいねが集まっています。これについていかがでしょう?要因について考えなどもあれば教えてください。

七瀬八(以下、七瀬):まったく予想していなかったので、このような反応をいただけたことが嬉しく、いまだに驚いております。

 要因については、正直なところ私自身も知りたいくらいです。ただ「睡眠売買」に興味を持っていただけたことを考えると、「睡眠」というテーマが注目されているのかなと。

ーー「睡眠を売る」というアイデアの着想についても知りたいです。

七瀬:前作『凛子ちゃんとひもすがら』の連載中、締切に追われてほとんど眠れない時期があり「誰か代わりに眠ってくれたら良いのに!」と強く思ったのがきっかけです。そこから「もし睡眠を売買できたら?」とアイデアを広げました。

 当初は睡眠売買がシステム化された近未来SF的な世界観を考えていたんです。でも編集の方との打ち合わせで「睡眠は現代的で身近なテーマ」とご助言をいただいて。それを踏まえ、リアルに感じられるように舞台を現代日本に変更し、売買の媒体を親しみやすい“アプリ”にしました。

ーー主人公のような精神状態を描くにあたって参考にされたものや取材をしたことなどはありましたか?

七瀬:創作する上で資料探しや取材をすることは多いですが、主人公の精神状態に関しては特別な取材はしていません。

 あえて言うなら、これまで関わってきた人たちから直接聞いたお話や、そのとき感じ取ったことが軸になっている感覚です。なので特に具体的なモデルがいる訳ではなく、自分の引き出しの中にあったものをそのまま表現しています。

ーーエピソードを考える時に苦労することはありますか?

七瀬:今回の連載は2作目となりますが、前作とは異なり、毎回新しいゲストキャラクターが登場する形式での連載に挑戦しています。

 個人的に、漫画を描く際はキャラクターの存在を非常に大切にしており、作中に描かれない部分も含め、ひとりひとりの人生を考えながらストーリーを構築することが多いですね。

ーーなるほど。

七瀬:ゲストキャラクターの場合も同様で、新しく登場するたびにその人生に向き合いながら物語を作ろうと心がけています。キャラクターが増えることで作業量も増えるため、そこに前作とは違う大変さを感じることもありますね。その一方で、多種多様なキャラクターと出会えることに、作家としてのやりがいも感じています。

ーーもし実際に睡眠売買アプリがあったら、売る側と買う側どちらだと思いますか?

七瀬:昔だったら「売る側」に興味があったと思うのですが、今は圧倒的に「買う側」です。睡眠事情に関しては、この漫画のネタが生まれた頃よりむしろ悪化しているくらいなので、売る側に回れるような快眠生活を送りたいです。

ーー今後『おやすみストレイシープ』はどのように描いていきますか?

七瀬:現在の人間ドラマ的な部分に加えて、「睡眠売買」そのものにまつわるエピソードや、1話でも登場した夢の中のお姉さんの存在なども含めて物語の構想を練っています。今後お話が進む中でお届けできたらいいなと考えているので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。

ーー今後の展望を教えてください。

七瀬:今想像している物語を、いい形で読者の皆様にお見せできたらなと考えております。そのためにも、しっかり眠り、健康的な生活を送って体調に気を付けながら頑張りたいです。

 また、4月18日に「おやすみストレイシープ」単行本1巻が発売予定ですので、ぜひ多くの方にお届けできたら嬉しいです。

 これからも主人公・真夜とこの先のストーリーを温かく見守っていただけると幸いです。

▪️『おやすみストレイシープ』は「ゼノン編集部」で好評連載中!(https://comic-zenon.com/episode/2550912964785978246

©︎七瀬八/コアミックス

関連記事