累計部数500万部『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』誕生秘話を大いに語る 25巻発売記念イベントレポ
キャリアが違ってもダメ出しし合う関係
丸山:漫画原作者の中でも神の視点型と憑依型がいて、Zooさんは憑依型。キャラクターの感情や体験を追体験して作っている印象があります。
Zoo:確かに。漫画を作るときに僕がよくやるのは「なりきり」。老人や赤ちゃん、どんな役にも憑依することができるんです。
丸山:憑依しすぎて、責められてるツヨシのエピソードを作ってるときなんて病んでいましたよね。
Zoo:そうそう。丸山さんの前でキャラクターを演じたり、丸山さんにセリフを読んでもらって一緒に演じながら物語を作っています。
丸山:僕らが上手くやれてるのっていろんな価値観が合うから、というのも大きいですよね。一緒に作品を作る上で編集者の方と笑いのツボが合わないと漫画を作っていくのはキツくないですか?
Zoo:キツいです。漫画家と漫画編集者と笑いのセンスが合わなかったらすぐに別れたほうがいい、というのが僕の持論です。丸山さんとは意地悪なところがよく合う(笑)。
丸山:確かに。
Zoo:それと丸山さんと組もうと思ったのは描くキャラクターの表情がとにかく良かったんです。過去に丸山さんは似顔絵のアルバイトをしていたんですよね。丸山さんが原作のネームを読んでも表情に強く惹かれていたし、自分が欲していた表情を描いていたんです。
丸山:僕はそれまで編集者の方に表情を褒められたことがなかったんです。だから「僕の武器はシンプルに画力だ」とそれまで思っていたのですが、初めて違うところを褒めてくれたのがZooさんでした。
ーーやはり気になるのは「漫画を面白くするには?」というトピックです。
丸山:何でしょうね。常にインプットすることは大事ですよね。
Zoo:確かに。そもそも僕は丸山さんが面白いと言ってくれるまでネームを直し続ける。まず丸山先生が面白がってくれるかどうかが大事だと思って作っていて…というか「面白い」と言うまで丸山さんはネームを通してくれない。
丸山:僕からしたらZooさんなんて、ものすごいキャリアお化けの方と組むわけですから連載が始まる前は、制作には一切口出しできないと思っていたんです。でも実際は逆でZooさんが「とにかく意見を言ってくれ!」というスタンスなんですよね。
Zoo:そうですね。
丸山:僕らは特殊な作り方をしていますよね。その体制になったのも、きっかけがあって。ある時、僕がZooさんの言われるがままになっていて、僕も漫画を描くのもどこか作業的になっていた時期があったんですよね。その時にZooさんが「こんなんじゃダメだ!丸山さんが面白いって言うまで直すから!」と言ってくれたことがあって。そこから意見を交換するようになって、僕も一緒に作品を作っている感覚が芽生えて、画のクオリティもどんどん上がったし、キャラクターの感情の入り方も向上していきました。
Zoo:逆に僕から丸山さんへダメ出しすることもあって、表紙の直しが延々に終わらないこともある。
丸山:いい意味での監視体制ができていますよね。
野望は『TSUYOSHI』100巻を出す
ーー最後に丸山先生、Zooさんの「野望」を教えてください。
Zoo:僕個人としては会社を大きくすることですが、Zooとしては一億部を売ること、そして100巻を出すことですね。今25巻なのであと75巻か。構想はちゃんと75巻分あるんですよ。
丸山:このことをZooさんがX(旧:Twitter)でポストしているのを見て「あ、そうなんだ」と思って(笑)。「俺、ここ数十年は『TSUYOSHI』を描くんだ」って、その時に知りました。
ーー6年連載して現在25巻ですからね。100巻まで大体18年くらいだとして…
Zoo:そのころ僕は60代中盤。まだまだやれますよ。
丸山:僕は49歳です。
Zoo:ちょうどいいじゃないですか。あ、100巻が目標と言いましたけど、100巻以降も続けますからね。
丸山:おお…。
■コミックス情報
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』25巻
丸山恭右 シナリオ:Zoo
定価:880円(税込)
発売日:2025年1月17日
ISBN:9784098537907
判型:B6判
© Kyosuke Maruyama・Zoo / Cygames, Inc.