松下洸平、読者の前でエッセイ発売の想いを明かす『フキサチーフ』 トークイベント現地レポート
俳優・ミュージシャンとして活躍する、松下洸平の初エッセイ集『フキサチーフ』(KADOKAWA)の発売を記念して、12月16日に東京・渋谷にあるHMV&BOOKS SHIBUYAにて、プレミアムトークイベントが開催された。
『フキサチーフ』は、雑誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)にて2021年4月号から2024年1月号まで掲載された連載エッセイに加えて、2篇の書き下ろしを収録したものだ。母親が運転していたハイエースの話、祖父と3000冊以上にも及ぶ本の仕分けをした話といった家族の思い出。何者にもなれていないころのほろ苦い記憶に、お世話になった人との心温まる交流。さらには、大好きなさくらんぼの種を取って一気に頬張ってみた話やスマホの変換機能で未知の漢字を探す話など、松下らしい穏やかな視点で思い出と日常が紡がれている。
開演前のハプニングが発生するも、穏やかな時間が流れる
そんな松下の綴った日々を抱きしめるかのように、会場に集まったファンたちは『フキサチーフ』を愛しそうに抱えていた。イベント開始までの間、お気に入りの章を読み返している姿も。そして、いよいよ開始時間……となったのだが、なかなかイベントは始まらない。この日は、会場に駆けつけることができなかった読者のためにライブ配信を実施していたのだが、それが繋がらないというトラブルが発生したのだ。「ファンは鏡」という言葉を聞いたことがあるが、朗らかな松下のファンもその例に違わず、突然のトラブルに対してもむしろ笑顔がこぼれるような穏やかな時間が流れた。
そして約15分ほど遅れてスタートすると、満を持して登場した松下に大きな拍手が上がる。「お待たせしました! 大丈夫ですか? この後、予定のある方いますか?」なんて開口一番で気遣う言葉が出てくるのも、松下の人となりがうかがえる。
まずはマスコミ向けのフォトセッションが始まり、ニコッとカメラに向かってポーズを取るも、スタッフから『フキサチーフ』を持つように指示が入る。「あ、忘れてた!」とチャーミングなリアクションを取る松下に会場からは笑いが起きるのだった。
「本を指さしてください」というカメラマンからのリクエストに、『フキサチーフ』を指差す松下。そんな一挙手一投足に「わぁ!」とやわらかな歓声が上がる。何が起きたのかと少し驚きながらキョロキョロとする松下のピュアな動きもまたファンを喜ばせる部分だろう。
表紙のこだわりポイントを熱弁! しかし完成した本を見ると…
そのまま松下が「お元気ですか?」と問いかけると、「元気でーす」という声が返ってきた。「良かったです、待っている間は何をしていたんですか?」「読んでました!」とのやりとりが会場の温度を高めた。
MCから『フキサチーフ』のこだわりについて問われた松下は、紙質について「数え切れない種類から選んだんです」という。「持ったときにほっこりする気持ち」を大切にしようと、ザラザラとした触感で温かみのある色の紙を選んだのだそう。だが、あまりにも候補となる紙が多すぎて「最後は自分で何を選んでるのかわからなくなった」と本音をこぼして笑いを誘う。