【漫画】人の頼みを断れない女の子、優しさにつけこむ同級生は許せる? 心の機微を描いた創作漫画がスゴい

――作品の反響などはいかがですか。

青い小指:普段より多かったです。「読みやすい」とか「ふたりの想いの交差がとてもいい」などの感想もありました。また学園祭でコピー本を売ったのですが、完売して嬉しかったです。その時にもお客さんから「読みやすい」、「アングルが上手い」などと褒めていただきました。

――本作の着想、制作のきっかけについて教えてください。

青い小指:前々から「いつも助けている側の人は誰から助けてもらっているのだろう」と考えていたんです。いつも近くに寄り添ってくれる人がいたらいいな、そうであってほしいな、と考えて制作しました。

――抑制された展開と裏腹に感情のメタファーとして落ちる氷菓子がドラマティックでした。このモチーフを選んだのはなぜ?

青い小指:最初はガラスがモチーフだったのですが、夏の季節だったのでアイスクリームにしました。

――渚ちゃんのような「仏のような人」について、ご自身はどうお考えですか。

青い小指:私の憧れる人物像です。私自身、人を許せないと感じることがたくさんあるので、仏のように許せる人を尊敬してしまいます。数カ月ほど前に別れてしまったのですが、元恋人が渚みたいな人でした。ちなみに次に描く漫画は私とその元恋人との話です。

――物語を考えるに当たって苦労したなどがあれば教えてください。

青い小指:物語の流れや読みやすさ、セリフです。何度も読み返して、「こっちの言葉の方がいいな」、「ここは何も言わせずにしておこう」と何度も修正しています。「このキャラクターはこういうセリフを言うだろう」とか、「どういう言葉や行動が相手に安心してもらえるのか」などにも気を使います。

――作画やキャラデザインについてはいかがでしょう?

青い小指:くらげの髪型は大変でした。クラゲがモチーフのキャラクターだったのでクラゲのあの「ふわふわ感」を髪で表現しています。渚は目です。優しく、相手を安心させるような目を描けるように心がけました。ふたりに共通するこだわりは細かな表情。そこが読者の皆さまに伝わっていたら嬉しいです。

――Xでの「いつか自分を守ってくれるような物語を描きたい」という自身のポストも印象的でしたが、それは具体的にどんな作品でしょうか。

青い小指:私は「どうしてこの漫画を描きたいのか」、「なぜ描きたいのか」という気持ちを大切にしていて、この『静かに溶ける氷菓子』もこういう人っているよな……と感じて制作しました。

 別れてしまった恋人が渚みたいな、嫌だけど何でも引き受けてしまう人で、側で誰かが寄り添ってくれる人がいたら救われるだろうな、と感じています。なので自分、もしくは誰かにとっての「お守りにできるような作品」でしょうか。

――憧れ、影響を受けた作品や作家は?

青い小指:魚喃キリコさんです。余白の使い方、構図に惹かれました。あとは小説家ですが、舞城王太郎さん、江國香織さん、三浦しをんさん……などからも影響を受けています。

――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。

青い小指:漫画家は小さい頃からの憧れ。漫画で食べていきたいという気持ちはありますが、まずなれるかどうかが問題です。大学の課題が忙しくてなかなか漫画が描けない期間もあるのですが、頑張ってこれからも描き続けます。

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