人気漫画『ガールクラッシュ』準備期間のため休載 “リアル描写”がトレンドの中、取材が長期傾向に?
■取材に出かける漫画家は結構多い
LINEマンガで人気のタヤマ碧のアイドル漫画『ガールクラッシュ』が取材のために長期休載すると公式Xで発表された。その理由は作者の体調不良などではなく、単行本作業、取材、さらには資料整理などを含めた準備期間を設けるためという。漫画は合同オーディション編が開始され、盛り上がりを見せているところだが、ファンの間からは「連載再開楽しみにしてます!!」とポジティブなコメントが多数寄せられている。
編集部は「今度もワクワクをお届けするための充電期間となりますので、何卒ご理解いただければ幸いです」とコメントし、「再開した折には、よりパワフルでガールクラッシュな物語をお届けできるよう、タヤマ碧先生とともに準備してまいりますので、しばしの間お待ちいただければ幸いです」と結んでいる。
ひと昔前の週刊少年漫画雑誌であれば漫画家の休載は許されない風潮があったが、以前にリアルサウンドブックで記事化したように、漫画家の現場では“働き方改革”が進んでいる。休載は以前にように問題視されなくなり、むしろ漫画家を積極的に休ませようとする編集部もあるようだ。
なお、休載の際には、「取材のために休載します」という文言が使用されることが多い。この表現は様々な憶測を呼び、「実は病気だったりするのでは」と噂が飛び交うこともある。実際にそういったケースもあるにはあるようだが、実際に漫画家は編集者と取材に出かけていることも多いそうだ。大手出版社の編集者A氏はこう話す。
「私は何度か担当する漫画家と、休載の間に取材に行ったことがありますよ。最近の漫画は特に青年漫画はリアル志向が強いでしょう。また、料理人が主人公の漫画などが典型ですが、職人や仕事をテーマにしている漫画なども多い。こういった漫画は妄想だけでは描けない。なので、現場を訪問して定期的な取材をすることが必要です」
■リアルな描写が求められる
最近では異世界物、アイドル物などにもよりリアルな描写が求められている。そのため、世界観にこだわる漫画家は取材に行くことが多いようだ。A氏がこう解説する。
「異世界物を描いている漫画家だと、例えば古い洋風建築などを見に行く人はいます。かつてはアシスタントを連れて、舞台になりそうな洋館を見に行く漫画家はいましたよ。最近はいい背景素材が販売されているので、わざわざ建物を手描きしない漫画家も増えましたが、やっぱり舞台設定にこだわる人は取材をしていますね」
事前に取材をしている漫画とそうでない漫画とでは、クオリティに大きな差が生まれるとA氏は話す。「ネットで得られる情報は限界がある。実際の取材で得られるリアルな話は、漫画家にとっても刺激ですし、よりよい作品作りのために大切なんですよ」とのことだ。そんな漫画家の取材旅行の準備にあたっては、旅程などを組み立てる編集者の協力も欠かせないそうだ。