『100年の経』『星野くん、したがって!』『室外機室』漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画
『室外機室 ちょめ短編集』ちょめ
まるで主人公と一緒にその世界に入り込んで同じ世界を見ているかのような...『室外機室 ちょめ短編集』は、最初から最後まで不思議な浮遊感と浸透力を私たち読者にもたらしてくれる。
SNSやCOMITIAで大きな話題と注目を集めた、ちょめ氏による商業デビュー単行本。存在しないはずの不思議な同人誌を買ってしまう「継ぎ穂」、死後に空中散歩を楽しむ「21gの冒険」、深夜に突然流れ始めた異国のラジオの物語「混信」など、日常のすぐ隣にある非日常に焦点をあてた、ファンタジー短編4つを収録した一冊。
ファンタジーと言いつつも、主人公が足を踏み入れた世界は、ドラゴンが登場するわけでも、煌びやかなお城がそびえ立つわけでもなく、どこか日常と地続きだからこそ、作中に漂う雰囲気はとても静かで平熱。また、まるで主人公に身を任せているかのような視点で物語が展開するため、一緒にこの世界に迷い混んだ浸透感と、白昼夢を見ているかのような読後感を味わえる。