『ハイキュー!!』のある月曜が戻ってきた! 縦スクロール&カラー版で読む、名作の新たな魅力
2024年5月29日よりスタートした「ジャンプTOON」。集英社が配信する縦スクロール漫画のアプリ、ウェブサイトだ。現在はオリジナル作品のほか、人気作品のタテカラー版作品が連載中。タテカラー版は既存の作品のコマを縦読みに組み変えており、原作を読んだ際とは少し異なる印象を受ける。それを違和感ととらえるか、新しいと捉えるかは意見が分かれるところかもしれない。
スタートしたばかりの「ジャンプTOON」。タテカラー版の中には古舘春一・著『ハイキュー!!』もラインナップにタイトルを連ねている。
バレーボール漫画と縦読みの親和性
高校バレーを題材としたスポーツマンガ、「ハイキュー!!」。物語は完結しているものの、変わらない高い人気を誇っている。また、今年2月になった映画「劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦」は公開から75日間で興行収入100億円を突破し、話題を呼んだ。
人気作がタテカラー版というまた新たな形になったというのなら、やはりその中身は気になるもの。タテカラー版になったことでどのような「変化」が生まれているのだろうか。
一番大きい点は、上下の動きがよりリアルに感じられるところだろう。バレーボールは時には飛び、時には這うもの。スクロールすることでその動きの臨場感が増す。バレーボールというスピード感あふれる競技が題材となっているのは、縦読みには向いているのかもしれない。
一方で気になるのは横の動きだ。「ハイキュー!!」の主人公・日向翔陽の強さのひとつは、バレーボールのコートを縦横無尽に動き回ること。要の攻撃では、コートを右から左へ、左から右へ、と大きく移動するシーンも多くある。原作で受けた迫力をどのようにタテカラー版で再現してくれるかは注目したい。
一コマをよりじっくりと味わい尽くせる
縦読みになると、一コマ一コマがより一層存在感を増す。原作を読む際も、もちろんそれぞれのコマをじっくり読んでいるが、やはり縦読みだと情報の入ってきかたが違うように感じる。1ページで捉えていた複数のコマが、1コマずつ飛び込んでくる感覚は、これまでとは異なる読書体験だ。
加えて、フルカラーとなっていることも大きな要因と言えるだろう。脳内で補完していた情報が実際に色として現れていると、よりコマごとの臨場感が増す。
ただ、以前からコート内でのリアルさは原作でも存分に描かれていたところ。それはコマが組み合わせられることによって生まれていた部分も多い。その原作でのコマの使い方は物語が進むにつれて、タテカラー版ではどのように組み直されていくのかも今後注目したいところだ。
ハイキュー!!のある月曜は目覚めがいい
最新話は毎週月曜に更新中。「ハイキュー!!」ファンとしては、また毎週月曜に最新話(原作では読んでいたとしても)が読めるのは、再びのワクワクをありがとう! という気持ちだ。特に、ゴミ捨て場の決戦でさらに進化する日向と影山を観ていたからこそ、まだ息が合っていない、初期の関係のふたりの姿にどこか微笑ましい気持ちになってしまう。ここから成長していくのか……と思うと感慨深い。しばらくは「ハイキュー!!」のある月曜日を楽しんでみてはどうだろうか。
・作品配信ページ
ジャンプTOON:https://jumptoon.com/series/JT00027
(C)古舘春一/集英社