『鬼滅の刃』胡蝶三姉妹から継国縁壱・黒死牟まで……柱稽古編以降で描かれる“兄弟/姉妹の絆”に注目

継国縁壱と上弦の壱・黒死牟…歪んだ兄弟関係の行く末は?

 血の繋がりがなくとも強い絆で結ばれた姉妹関係がある一方、血縁があるからこそ歪んでしまった関係性もある。

 『鬼滅の刃』の終盤に登場する上弦の壱・黒死牟と、始まりの呼吸の剣士・継国縁壱との兄弟関係がまさにそれだ。黒死牟は、縁壱の双子の兄・継国巌勝(つぎくにみちかつ)が鬼となった姿。縁壱と同様、元鬼狩りのため鬼殺隊員と同じ「呼吸」が使えるという、鬼の中でも特殊な存在だ。  

 幼少期、弟の縁壱は忌み子として家族からも邪険にされていたが、類稀な剣の才能を開花させ、次第に剣士としての頭角を表していく。巌勝は、幼少期憐れんでいた弟に、剣士としての才能や実力で劣っていることに我慢ができず、弟に勝つためすべてを捨てて鬼となることを選ぶ。

 ただし、鬼となった後縁壱と対戦した際に、弟が老いによって息絶えてしまい、自身が勝利することはできなかった。さらに、縁壱は強さと不死の身体のため鬼になることを選んだ兄を憐れみながら死んだため、この対戦の記憶が、鬼としての最期まで彼の脳裏を支配することとなってしまう。弟の強さに憧れ鬼になることを選び、最期まで執着し続ける兄。作中登場する様々な兄弟エピソードの中でも、特に悲しく歪んだ兄弟の絆エピソードとなっているのだ。

 鬼滅の刃では、炭治郎と禰󠄀豆子をはじめ、鬼殺隊員や柱、さらには鬼に至るまで、様々なキャラクターの兄弟/姉妹エピソードが描かれている。「柱稽古編」以降のアニメ放送に向けて、こうしたさまざまな絆に着目しつつ原作を復習してみてはいかがだろう。

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