ジャンプ『東京卍リベンジャーズ』作者・和久井健が新連載  次々と“電撃移籍”を実現させる編集部の戦略

新たな才能を発掘するためのシステム

  そもそもこうした動きの背景として、近年の編集部が他社の作家の受け入れに積極的なスタンスを示していることは明らかだ。たとえば『週刊少年ジャンプ』の編集部は、2023年末に他誌での連載経験がある“プロの作家”を対象とした説明・相談会を開催していた。

  どうやら同編集部では近年、『週刊少年ジャンプ』での作品発表を検討しているプロの作家からの問い合わせが増えていたらしく、それに対する応答という意味で、説明会兼相談会の開催に至ったという。

  また『少年ジャンプ+』の編集部も、数年前から「プロ漫画家のためのNEXTステップ」と題して、プロの作家からの持ち込みを不定期で募集している。持ち込み条件は非常にゆるく、他社掲載作でもOK、なおかつ青年誌や少女誌などあらゆるジャンルの作家に門戸を開くというスタンスのようだ。

  ひと昔前にはこの逆で、『ライジングインパクト』の鈴木央や『シャーマンキング』の武井宏之など、『週刊少年ジャンプ』から他社の雑誌に移って活躍する作家も多かった。おそらくその背景には、誌面の掲載スペースが限られているため、連載枠をめぐる過酷な競争があった……という事情が関係しているだろう。

  しかし現在では『少年ジャンプ+』というWeb媒体が定着したことで、作品の掲載スペースがほぼ無限大に拡張されている。だからこそ、編集部が積極的に作家を受け入れようとするスタンスを打ち出すようになったのかもしれない。

  次はどの作家が脚光を浴びることになるのか、今後の『週刊少年ジャンプ』と『少年ジャンプ+』から目が離せない。

 

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