『機動警察パトレイバー』搭乗/操縦できるイングラム開発の利点とは? 日本の風景に馴染むロボットへの期待

 今回のMOVeLOTによるイングラム製作も、イングラムという機体が持つ実在感の強さがカギなのだろう。「現代日本の風景の中に放り込まれても違和感を発生させない」というイングラムの持ち味は唯一無二。たとえば完成後に色々なイベント会場に持ち込んで動かすにしても、周囲の風景と馴染んでより『パトレイバー』っぽさを増すことができるわけである。

 他の機体ではそうはいかない。お台場や横浜に立った実物大ガンダムはあくまでモニュメントであり、あれが立ったことによってお台場がスペースコロニーの内部に見えてくるようなことはなかった。稲城長沼駅の前のスコープドッグにしても、駅前に立っている限りはやはりモニュメントである。スコープドッグの場合、どちらかといえば工場で製作中の時点の方が雰囲気があったように思う。

 しかし、イングラムは違う。『パトレイバー』という作品の特徴ゆえに、現実の日本の風景の中に立ったイングラムは、現実と作品世界の境界線を曖昧にしてしまうのだ。もちろん現実の日本を舞台にロボットが登場する作品は他にもたくさんある。が、8mほどというほどよい全高、ヒット作ゆえの知名度、見た目のわかりやすさ等々、これだけ好条件が揃っている機体は他にないのだ。

 というわけで、MOVeLOTが題材としてイングラムを選んだ理由は十分に理解できる。サイズ、知名度、そして周囲の風景との親和性……登場から36年が経過した現在でも、これほどまでに実物大で作った時に様になる要素が揃ったロボットは他にないのだ。完成の暁には、きっと絵になるイングラムが完成していることだろう。ただ、漫画版も好きな自分としては、最初の方に出てきたイングラムのシミュレーターみたいな方向性の機材も見てみたいかも……と、思わなくもないのであった。

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