【漫画】町中華を愛する女子大生、ドジだけど真っ直ぐな店員と出会って……「好き」を大事にしたいSNS漫画

「大学生の今だからこそ描ける作品にしたい」

――なぜ『町中華が待っている』を制作することになったのでしょう?

桜本:まず「性格が真反対の二人が出てくる、なおかつ飲食店を舞台にした物語を描きたい」と思いました。人生で初めて描いた32ページの作品なのですが、当時は作業ペースが全く掴めませんでした。特に仕上げの2週間は過酷で、休日はずっと家にこもったり、メイクする時間ももったいなかったのでスッピン眼鏡で大学に通ったりなど、とにかく時間に追われながら完成させました。

――なぜ飲食店として街中華を選んだのですか?

桜本:まず「大学生の今だからこそ描ける作品にしたい」と考え、主人公を女子大生にしました。次に「どの飲食店にしようか」と思った際、何度も実際にお店に足を運んで取材することを考慮した結果、「安価であまり敷居が高くない」「読者に共感してもらいやすそうな店」を探していました。丁度その時、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で町中華特集をやっていて、思わず「こ、これだー!」となって選びました。

――女子大生がメインですが、桜本さん自身をモデルにしたキャラはいますか?

桜本:モデルにした自覚はありませんが、浮田は私に似ていると思います。浮田ほど大学生活に対して心細い思いはしていませんが、時には人間関係で悩んだり、他人と比べて落ち込んだり、一人の時間が欲しかったりするため、特に高い解像度で描くことができました。一方、呉山は私が憧れる女性像の一つを描いています。「頑張り屋さんで、芯が強く、まっすぐな呉山には人を惹きつける力があるに違いない!」と自信満々で描きました。

――今回登場した町中華「華楽」にはモデルはありましたか?

桜本:本作を制作するうえで実際に6店舗ほどの町中華に行きました。それらのお店を組み合わせた内装や外装になっています。また、本来であれば町中華特有の油を纏った雰囲気や様々な声が飛び交う騒がしい様子を上手く表現したかったのですが、私の画力不足で殺風景な店内になってしまったことは心残りです。

――作中に登場するカップルは態度が悪い気がしますが、「あるある」な反応かもしれませんね。

桜本:私自身初めて町中華に行った際、油でベトベトした店内、普段接することのない客層などに圧倒されました。その経験も踏まえながら、浮田のように「初めて町中華に行く人は少しびっくりするかもな~」と想像しながら描きました。

町中華は特有の“LIVE感“がたまらない

――呉山の「はい! 存じ上げてます!」という終わり方が爽快感がありました。

桜本:ラストシーンは特に狙いはなく、なりゆきだったと思います。浮田と呉山がお互いに笑顔で終わることを第一に考えていたため、誰のどのセリフで終わりにしようとはあまり考えていませんでした。

――「町中華って本当に安心する」というセリフがありましたが、桜本さんが考える町中華の魅力を教えてください。

桜本:ずばり音です。町中華は比較的小規模なお店が多く、また厨房とカウンターの距離も近いため、常に店内は音で賑わっています。中華鍋に具材を入れる音、食器が重なり合う音、はたまた店員同士の掛け声など、町中華特有の“LIVE感“がたまりません!

――今後はどのように漫画制作を進めていく予定ですか?

桜本:今お世話になっている『ゲッサン』(小学館)でのデビューが1番の目標です。“読んだ後に優しい気持ちになれるような、忙しい毎日の中で息抜きのお供になれるような漫画”を描いていきたいと思っています。また、漫画制作を通して思わぬ人と出会ったり自分の知らない所に赴いたりすることが楽しくて仕方ありません。これからも好奇心旺盛に何事にも挑戦してみたいです。

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