後藤護『悪魔のいる漫画史』 SUPER DOMMUNEにて12月21日に刊行記念トークショー開催

 『ゴシック・カルチャー入門』『黒人音楽史―奇想の宇宙』で注目を集めた気鋭の暗黒批評家・後藤護による三冊目の単著『悪魔のいる漫画史』(blueprint)の刊行記念トークショーが、発売日となる2023年12月21日にSUPER DOMMUNEにて開催される。

 ゲストには、『日野日出志ベストワークス』(太田出版)編者の寺井広樹、フリンジカルチャー研究家の宇田川岳夫、残酷映画批評家のヒロシニコフを迎えるほか、終盤ではDJフクタケによる「悪魔のいる漫画・アニメ・特撮史」オンリーのDJプレイをお届けする。また、当日会場にて『悪魔のいる漫画史』の販売&サイン会も実施する。

 『悪魔のいる漫画史』はゴシック、マニエリスム、悪魔をテーマに古今の漫画を縦横自在に読み解く漫画評論集。カバー画は漫画家・丸尾末広が描き下ろした。

 本書で論じるのは、楳図かずお『神の左手悪魔の右手』、萩尾望都『ポーの一族』、山岸凉子『アラベスク』、古賀新一『エコエコアザラク』、日野日出志『蔵六の奇病』、丸尾末広『パノラマ島綺譚』、楠本まき『KISSxxxx』、アラン・ムーア『フロム・ヘル』、チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』、水木しげる『日本妖怪大全』、諸星大二郎『壺中天』、高橋葉介『夢幻紳士』、諫山創『進撃の巨人』、三浦建太郎『ベルセルク』、藤本タツキ『チェンソーマン』など。著者が敬愛する澁澤龍彥の美学を通して、悪魔的漫画の系譜を紡ぎ出す。

 トークショーはSUPER DOMMUNEのサイトにて観覧できるほか、50人限定でスタジオ観覧も可能だ。悪魔的漫画に耽溺する怪しい一夜に乞うご期待!

登壇者プロフィール

後藤護
暗黒批評。『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論社、2022年)で第1回音楽本大賞「個人賞」を受賞(渡邊未帆選)。その他の著書に『ゴシック・カルチャー入門』(Pヴァイン、2019年)。現在、ポリマス(博識)をテーマとする『博覧狂気の怪物誌』(晶文社、2024年刊行予定)、ダグラス・マッカーサーのサングラスの衝撃に始まる『戦後日本黒眼鏡サブカルチャー史』(版元、刊行年未定)の2冊を鋭意準備中。

寺井広樹
文筆家。1980年、神戸市出身。日野日出志とともに日野プロダクションを設立。文筆業のかたわら、地方創生事業に進出し、企画プロデュースした「お化け屋敷電車」「まずい棒」が話題に。『日野日出志全仕事』(玄光社)『日野日出志 トラウマ!怪奇漫画集』(イカロス出版)『ようかいでるでるばあ!!』(彩図社)など著書多数。ドキュメンタリー映画『伝説の怪奇漫画家・日野日出志』では監督・撮影を務める。

宇田川岳夫
CoolJapan戦略の傍らで埋没・忘却された昭和から平成初期にかけてのカウンターカルチャーとしての音楽・演劇・劇画を検証・批評・復刻することを主たる活動としている。著書に『マンガゾンビ』(太田出版)、『マンガ地獄変』(水声社)など。

ヒロシニコフ
残酷映画の評論を中心に、書籍や雑誌などに寄稿多数。また、ゴア・ホラーに特化した地下映画レーベル〈VIDEO VIOLENCE RELEASING〉の代表も務める。レーベル活動の延長として、ゴア・ホラー専門映画祭「ゴアフェス」を主催。血みどろホラーに人生を侵食されている。

■イベント詳細
Real Sound Collection『悪魔のいる漫画史』刊行記念番組
実写版「悪魔のいる漫画史」
日時:12月21日20時〜
入場料:¥1,000(50人限定)
場所:〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町15-1
渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
詳細:https://www.dommune.com/streamings/2023/122101/

■書籍情報
『悪魔のいる漫画史』
著者:後藤護
発売日:2023年12月21日
価格:2,750円(税込)
出版社:株式会社blueprint
判型/頁数:四六/320頁
ISBN:978-4-909852-46-5
購入はblueprint book storeにて

【目次】
第1章 楳図かずおのゴシック・マンガ
ーー「赤んぼう少女」から「まことちゃんハウス」まで
第2章 楳図かずおと恐怖のトートロジー
ーー『神の左手悪魔の右手』における鏡・分身・反復
第3章 『ポーの一族』と「ロマンティックな天気」
ーー 疾風怒濤からロココ的蛇状曲線へ
第4章 『アラベスク』に秘められたグロテスクなデーモン
ーー山岸凉子のバレエ・ゴシック【前篇】
第5章 乙女と奈落~『舞姫 テレプシコーラ』で『ヴィリ』を読む
山岸凉子のバレエ・ゴシック【後篇】
第6章 怪奇マンガの帝王、古賀新一の魅力再考
ーー澁澤龍彥が『エコエコアザラク』に与えた影響
第7章 日野日出志「蔵六の奇病」と虹色のデカダンス
ーーユイスマンス『腐爛の華』から考える「腐れの美学」
第8章 丸尾末広と「独身者機械」
ーー初期エログロナンセンス作品から最高傑作『パノラマ島綺譚』まで
第9章 楠本まき『KISSxxxx』論 前篇
ーーキュアーで踊る、ハッピーゴスの誕生
第10章 楠本まき『KISSxxxx』論 後篇
ーー日常という名の「不思議の輪」
第11章 百科全書派ゴシックとしての『フロム・ヘル』
ーーパノラマ的視点の問題を突く
第12章 チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』とタラッサ的退行
ーーシアトル、グランジとの同時代的共振
第13章 「河童の斬られた片腕」の謎
ーー水木しげる『決定版 日本妖怪大全』
第14章 諸星大二郎の『壺中天』
ーー風格主義的漫画(ManneristicComics)試論
第15章 夢幻のカリガリスムとダンディズム
ーー高橋葉介『夢幻紳士』を読む
第16章 水晶の官能、貝殻の記憶
ーー『進撃の巨人』における「小さな」もの
第17章 黒い脳髄、仮面のエロス、手の魔法
ーー三浦建太郎『ベルセルク』を読む
第18章 スプラッター資本主義と糞のカーニヴァル
ーー『チェンソーマン』のダークエコロジカルな倫理

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