アマビエ、だけじゃない! ゆるカワ『予言獣大図鑑』妖怪とは異なる愛くるしい謎の獣たち

 150点以上の資料を収めた、本邦初の『予言獣大図鑑』(文学通信)が刊行された。コロナ禍で話題となった「アマビエ」の、ユルく、愛らしく、謎な仲間たちである「予言獣」を再定義し、十二系統に分類して紹介する、ほかに類を見ない書籍となっている。

 水木しげるや歌川国芳の描く妖怪とは雲泥の差がある、なんとも気の抜けた表情や愛らしさの予言獣たち。多くは、非合法の印刷物=かわら版として即席に印刷されたもので、絵心のない素人が転写したものも多くあるそう。珍妙な予言獣たちを眺めながら、どんな思いで描かれたのか、思いを馳せるのも楽しそうだ。

 図書館司書・アーキビストである長野栄俊が蒐集してきた資料をもとに分類された予言獣たち。それぞれの名称・別名・収載資料名・所蔵機関・資料形態・予言獣出現日・図版・翻刻・現代語訳を収録。また、クダン(人の頭、獣の体を持つ怪物)研究を牽引する〝クダニスト〟笹方政紀、小説家であり〝フォークロア・コレクター〟でもある峰守ひろかず、わが国屈指の〝予言獣ハンター〟岩間理紀も加わり、全力で予言獣を追うテキストも収載されている。妖怪ファンにはたまらない一冊だ。

■作品情報
書名:『予言獣大図鑑』
著者:長野栄俊(編)・岩間理紀・笹方政紀・峰守ひろかず(著)
ISBN:978-4-86766-026-3
サイズ・製本:A5判並製
ページ数:344頁+カラー口絵
定価:本体2,200円(税別)
出版社:文学通信

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