ヤンキーギャル、流行の兆し 旧車好き、元レディース総長……関連書籍が続々登場のなぜ?
ヤンキーといえば男性の文化というイメージが強いが、女性主体の暴走族“レディース”などの女性のヤンキーである、いわゆる“ヤンギャル”も独特の存在感があり、根強いファンがいる。
今年7月に出版された伝説のレディース・女族のかおりの『「いつ死んでもいい」本気(マジ)で思ってた…』は話題になっているが、11月27日に出版された『ティーンズロード特別編集 仏恥義理 旧車會★天国』も、ヤンキーとギャルのハイブリッド的な存在“旧車ガールズ”の記事が掲載されている。
特集が組まれるほど、暴走族やヤンキー文化が再び注目されている。こうしたブームは昭和・平成レトロの一例として見なされることもあるが、決してそれだけではないだろう。ヤンキーに憧れる女性は今でも一定数、しかも結構な数いることの表われでもあろう。実際、普段はヤンキーとはかけ離れたような生活をしているのに、潜在的にヤンキーに関心がある女性はかなり多いという意見もある。
いったい、どういった層が暴走族に憧れるのだろう。一例を見てみよう。女族のかおりが有名になるきっかけにもなった、レディース・暴走族雑誌「ティーンズロード」の読者投稿コーナーを見ると、まるでアニメ雑誌顔負けの上手なイラストがたくさん投稿されていた。その“推し活”ぶりは凄まじいものがあった。どう考えても本来のターゲットである読者層のヤンキーとは思えない、かなりオタク寄りの読者にも、同誌は購読されていたと思われる。
アニメ・漫画オタクとヤンキー文化は親和性が高い。近年、『東京卍リベンジャーズ』がヒットしたときは、特攻服が売れまくり、コミケなどの同人誌即売会には特攻服をまとった女性コスプレイヤーが多数出現した。アイドルや声優のライブにも、本物のヤンキー顔負けのゴージャスな刺繍をあしらった特攻服で参戦する人がいる。ヤンキー文化が一種の非日常的なものだからこそ、普段の自分と違う自分になれるコスプレが盛り上がるのかもしれない。
また、かおりは、女性からのファンレターの中には人生相談も多かったことを打ち明けている。こうした読者投稿コーナーを見ると、かなり切実な思いが綴られている投稿が多い。家庭内での悩み、学校での人間関係など、周りに打ち明けられない苦しみを抱えている人はたくさんいる。これは今でも変わらないだろう。そうした人たちにとって、レディースは羨望の対象だったのだ。かおりのようにかっこよくて強いレディースに自分を投影して、満たされない思いを解消していたのではないかと考えられる。
こうした様々な事例から推察すると、誰しもが、水面下ではヤンキーになりたい、ヤンキーをかっこいいと思うときがあるのではないだろうか。もちろん、暴力行為や喧嘩は推奨されることではないが、どこかそういうアウトロー的な存在に惹き込まれるのは人間の心理ではもあるはずだ。そして、令和の時代、社会が混迷を極めている。先が見えない時代だからこそ、我が道を貫くヤンキー的な存在が注目を集めるのは必然なのかもしれない。
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