『呪術廻戦』宿儺の性格はなぜブレている? 二面性の秘密に関わる「双子だった」説

二面性を持つ理由は“双子”だから?

  一方では軽薄で欲望に忠実に動き、他方ではストイックで強者を尊重する……。この二面性は、呪霊と人間(呪術師)の違いを表しているようにも見える。すなわち人間を嘲笑し、虐殺願望を露わにする呪霊としての性質と、強さを求めて相手に敬意を払う呪術師としての性質という違いだ。言い換えると、宿儺は呪霊と呪術師としての性質を併せ持っていると解釈できるのではないか。

  ここで宿儺の正体について、あらためて検討すべきだろう。宿儺は元々、平安時代に生きた人間だったとされているが、生前から異形の肉体を持っていた。腕が4本、顔と腹部にそれぞれ口がある姿で、まるで2つの存在が同じ身体に無理やり同居しているような見た目だ。第237話で、宿儺は自分の出生について「忌み子」だったことを語っていたため、おそらく生まれた直後から異形の姿をしていたのだろう。

  ところで呪術師の出生については、禪院真希・真依のエピソードで、呪術界では双子が「凶兆」とされていることが描かれていた。そこから類推するのであれば、宿儺は双子が1人の肉体として生まれてきた身体の持ち主だったのかもしれない。

  あるいは双子の片割れが出生時に亡くなり、もう1人がその魂を受肉することになったという可能性も考えられる。この仮説でいけば、宿儺が生命を冒涜する呪霊のような性質と、強く生きようとする呪術師のような性質を併せ持っていることにも説明が付くのではないだろうか。

『呪術廻戦 公式ファンブック』で、芥見は平安時代の宿儺について、「天災とかに近いもの」という表現を行っていた。その出生にどんな秘密が隠されているのか、今後本編のなかで語られることを期待したい。

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

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