【漫画】無表情&寡黙なヒーローがなぜカッコいい? 創作漫画『ライダー鉄仮面』が熱い

締め切りを設けて自分を追い込む

――今回『ライダー鉄仮面』の制作を決めた経緯を教えてください。

カリタ:本作は同人誌即売会『コミティア』に出す作品として作りました。今年の春ごろ、漫画制作にどん詰まっていたたんですよね。そこで「コミティアに応募して締め切りを課して何が何でも完成させよう」と思い、コミティアに応募して退路は断って制作しました。

――なぜヒーローものにしたのですか?

カリタ:映画『シン・仮面ライダー』を観たので、「じゃあライダーものを描こう」と決めました。

――なぜ鉄仮面を付けたライダーを主人公にしようと?

カリタ:もともと「顔の角度によって表情が一切変わらないのに感情を表現できる」ということで能面の芝居が好きなんです。そこで今回「自分なりのライダーものを作ろう」となった時、「じゃあ顔を模った鉄仮面だけで感情を表現するのはカッコいいんじゃないか?」と考え、このデザインになりました

――一方怪人のデザインはどのように決めましたか?

カリタ:最終的に「自分にとって最高にカッコいい!」と思えることを前提にしていました。“カッコいい”という要素だけでデザインすると、どうも魅力を感じられるものにならなかったので、カッコ良さに加えてチープさ、着ぐるみ感、安っぽさなどを足していきました。

――チープさなど、一見ネガティブに捉えられるものを加えた。

カリタ:はい。そうすると愛嬌などが出て、キャラの魅力がグッと上がったと思います。また、そういった要素を足しすぎて、他人から見てダサいデザインになったとしても、自分がカッコいいものとしてそのキャラを動かせば、カッコ悪いものもカッコよくなると思っています

戦闘シーンを描く時に思い浮かべることは

――戦闘シーンは描き込みが多く、とても迫力がありました。戦闘シーンを描くうえで意識したことは?

カリタ:音ハメを意識しました。特に戦闘シーンは頭の中でアニメのように、キャラが動いていることをイメージしながら描くことが多いです。「このタイミングでパンチの音が来ると気持ちいいな」とか「このシーンの間だとこんなに長く喋れないな」とかを考えてネームを切っています。

――その意識が迫力ある戦闘シーンにつながったのですね。

カリタ:ただ。本作はネームが思っていた以上に滞り、作画時間を満足に確保できず、かなり苦労しました。後半の作画はもっと丁寧に描きたかったです。

――ただただヒーローが無双して平和を守るのではなく、人間と協力して悪を倒すラストは素敵でした。

カリタ:実はラストを決めずにネームを描き進めており、「どう着地させようか」ということはかなり苦労しました。

――最後にビールを酌み交わすことも決めていなかった?

カリタ:はい。ただ、どこかのタイミングで「仮面のままだと飲み食いできないから、誰かと一緒に食事とかできないんだろうな」という発想から今回のラストが生まれました。

――最後に今後の宣伝などあればぜひ!

カリタ:本作は12月3日に開催される『コミティア』を同人誌として持っていきます。もし全部読んで「それでも紙でほしい」という人いたら、ぜひとも立ち寄ってくれると嬉しいです。また、『コミティア』でついた担当さんと一緒に連載獲得に向けて企画を練ったりネームを作ったりなどしています。「いい報告が出来たら良いな」とも思っています。

関連記事