『東京リベンジャーズ』極悪の世代“S62”メンバーはなぜ恐ろしい? 黒川イザナから班目獅音まで強烈なキャラたち

※本稿は『東京卍リベンジャーズ』のネタバレを含みます。原作未読の方はご注意ください。

 極悪の世代と呼ばれた「S62世代」。それぞれが少年院で出会い、出所後は天竺四天王として君臨し、不良界隈を大きく脅(おびや)かす。手が付けられぬ凶暴性を持つ面々が集結すれば、誰もが尻尾を巻いて逃げ出したくなることだろう。

 イザナ、モッチー、ムーチョ、灰谷兄弟、班目獅音と、この6名は1人1人が頂点を取れるほどの実力を持つ。今回は彼らの恐ろしさや狂気について触れ、「極悪」とまで言われた理由や魅力を解明していく。

 ここから先は原作のネタバレを含むため、アニメ派のファンは注意しながら読み進めていただきたい。

嫉妬に溺れた天竺の王・黒川イザナ

 黒川イザナに関しては以前の記事にて解説したが、その恐ろしさの源泉はマイキーに対する恨み。彼の生い立ちを見れば心が壊れた原因や、見ず知らずの人間を攻撃する気持ちも分からなくはない。

 だが、黒川イザナという人間はマイキーへの私怨を抱き続け、負の感情が全ての原動力になったからこそ恐ろしい。

 嫉妬心は人を狂わせると言うが、少しの歪みが大きな問題へ発展する。積もり積もった怒りと苦しみに支配されたイザナはある意味人間らしいキャラクターなのかもしれないが、時に背筋が凍るほどの冷酷さも併せ持つ。嫉妬に溺れてイザナは強くなった、といっても過言ではないだろう。

 絶対に集結することのない面子「S62世代」を纏め上げる力には目を見張るものがある。心の内の闇と、王に相応しきカリスマ性が彼の怖さを増長させるのだ。

双子を瞬殺する戦闘狂い!望月莞爾

 かつては呪華武(じゅげむ)といったチームの総長を務め、川崎を仕切った望月莞爾ことモッチー。スマイリーとアングリーのチーム・双悪(スゴアク)と戦い、双子を完膚なきまで叩きのめした実力者だ。

 13歳の時に仲裁に入った警察に暴力をふるって見事に年少入り、戦闘狂いと言われるまでのことはある。

 腕っぷしが強いほか、喧嘩っ早い点も恐ろしく、モッチーは見事なまでの“パワー系”。きっと喧嘩の強さで人望を集めたのだろう、望月隊と呼ばれる部隊を引き連れて東卍を襲撃するなど、圧倒的な破壊力を見せつけた。

 絶対に対峙したくない人間の1人だが、彼自身は全くドロドロしていない。戦闘時がただただ怖いだけで、人間性だけで言うならS62世代の中では最もマシな人物だと思う。

東京卍會を裏切った元伍番隊隊長・武藤泰弘

 口数が少なく無表情な武藤泰弘こと、ムーチョ。ポップなあだ名とはかけ離れた威圧感、彼を前にすれば何もしていなくとも「ごめんなさい」と謝罪したくなりそうだ。

 見た目がただ怖いだけではなく、東京卍會をあっさり裏切ったスマートさにも恐怖を覚えてしまう。登場時から謎に包まれていたため、意図が読めない行動には読者も振り回されたことだろう。

 三途春千夜との過去を振り返れば面倒見が良いのだろうが、何を考えているか分からないところがより恐ろしさを倍増させている。

 だが、マイキーへの忠誠心は偽物ではなかったらしい。ムーチョはどんな鬼にも人の心があることを分からせてくれるキャラクターなので、「極悪」と言えど、救いようのないクズとは大きく異なるのだ。

自由を謳歌する六本木のカリスマ・灰谷蘭&灰谷竜胆

 「チームには属さない」といった信念を貫く兄・灰谷蘭と弟の竜胆。自由人でありながらもイザナを大将と慕い、天竺幹部として動き回る。

 蘭は飄々としており、竜胆はその後ろをそっとサポート。不良の中でも非常にスタイリッシュで、一見するとお洒落でカッコいいお兄さんたちなのだが……。兄弟でコンビネーションを組んで大喧嘩、13歳にしてチーム・六本木狂極を倒す暴れ方が何よりも怖い。

 しかも彼らは相手チームの命を奪う寸前まで追い込んだ。灰谷兄弟には常識の二文字が通用しないのかもしれない。

 伝説の灰狂戦争より六本木を纏め上げた2人だが、フリーダムすぎるのでどうやって街を仕切るのかは不明。底知れぬ魅力に見惚れる不良も多く、東京卍會の三ツ谷隆もかつては灰谷兄弟へ憧れていたらしい。

 謎のカリスマ性と人々を惹きつける蘭と竜胆は正に“毒”。美しき薔薇には棘がある――。2人はその言葉の理解力を深める存在ではないだろうか。まぁ近寄らない方がいいことに変わりはないが。

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