【連載】『ガンダムZZ』は“見なくていい”作品なのか?

『ガンダムZZ』“大人の道理”と“悪ガキたちの道理”のコンフリクトをどう収束させる? 第13話「妹よ!」に感じる挑戦の難しさ

 一方で、繊細さを感じさせるところもある。今回の実質的な主人公はエルだが、そのエルとルー・ルカとの鞘当てがそれだ。シャングリラの悪ガキたちの中では紅一点だったエルはなかなか面倒見も良く、長い時間をかけて仲間たちと信頼関係を築いてきたことを窺わせる言動も多い。しかしルーという同年代ながら正反対の性格のキャラクターが登場したことで、そちらを意識せざるを得なくなっている。エルがトイレに入ろうとするシーンの「トイレに行くのにあなたの許可がいるわけ?」の台詞などに、ルーに張り合おうとするエルの心情が表れている。

 その対抗意識の最も分かりやすいのが、ジュドーをルーが止めようとしているのをエルが見つけたシーンだろう。こともあろうに生身のルーに対してモビルスーツで向かっていき、機体ごとZZに突っ込んでいる。あたりどころが悪ければ、ルーと一緒にジュドーも死んでいた。全く危なっかしい限りである。

 ただ、性格が反対の2人の少女が対抗意識を燃やすという点に関しては、状況的には全く不自然な点はない。自分たちシャングリラのジャンク屋に対して、ラビアンローズから来たよくわからない同年代の少女がいきなり命令してきたら、それは腹も立つだろう。そういったキャラクターの心情や人間関係とストーリーが噛み合っている瞬間もあり、それが『ZZ』の味わいを単なる雑なアニメ以上のものにしているのも事実なのである。

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