水木しげる生誕100周年、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公開決定 原作ファンが注目するのは前身『墓場鬼太郎』との共通点
水木しげる生誕100周年記念作品として、完全新作での長編アニメーション化が決定している『ゲゲゲの鬼太郎』。長年愛されてきた妖怪作品の金字塔が新たにどのような作品を生み出すのか、ファンからは大きな注目を集めているようだ。
鬼太郎親子と水木青年の関係性は……?
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、2018~2020年まで放送されていた第6期がベース。政財界を裏で牛耳る一族に支配された村を舞台に、“鬼太郎の誕生”についての隠された謎に迫るストーリーとなっている。
映画版では鬼太郎の父親である目玉おやじがまだ生きていた頃のエピソードとなるよう。すでに公開されているティザービジュアルや特報では白髪で着流し姿の鬼太郎の父親と、歩兵銃を持ったスーツ姿の青年の姿が描かれている。
ファンから注目を集めているのは、このスーツの青年・水木。『ゲゲゲの鬼太郎』の前身漫画である『墓場鬼太郎』にも登場する水木青年(作者・水木しげると区別するためファンからは水木青年と呼ばれている)と同一人物で間違いないだろう。
『墓場鬼太郎』での水木青年は、幽霊族の夫婦である鬼太郎の両親の家の隣に実家がある男性。埋葬された幽霊族の妻のお墓から生まれた鬼太郎を恐れから投げてしまい、それが原因で鬼太郎は隻眼に。その後鬼太郎を引き取り育てることになる――。(原作とアニメでは設定等が多少異なる)
アニメ6期では1話で「水木という青年に助けてもらった」と言及されており、水木青年が赤ん坊の鬼太郎を抱いているカットが。また鬼太郎が人間を守って妖怪と戦う理由にも水木青年が関わっているようだ。
『墓場鬼太郎』がダークで非情な作風だったこともあり、『墓場鬼太郎』での鬼太郎と水木青年の関係は決して良いとは言えない。しかしアニメ6期の世界線での関係は、比較的良好にみえる。そのためネット上では「水木青年と父さんの生前タッグは激アツすぎる」「墓場とはまた違う展開が描かれそうで楽しみ」といった期待の声も上がっていた。
怪奇色と皮肉がこもった社会風刺画が第6期の魅力
また映画自体の作風に関して、ファンからは「原作に近い『鬼太郎』の怖さと不条理さを描いてくれそう」「妖怪の世界を上手く現代とマッチさせて欲しい!」といった声も。
アニメ6期は怪奇色の強い作風となっており、さらに現代社会に対する風刺や皮肉も多数描かれている。たとえば7話「幽霊電車」はブラック企業を取り上げた“因果応報”の物語で、パワハラ社長が自身がきっかけで自殺した部下たちから報いを受けさせられて地獄に落ちていくというエピソード。
ほかにも可愛くなるために妖怪の力を借りて顔を変える少女を描いた15話「ずんべら霊形手術」や、「いいね」をもらうために迷惑行為や犯罪に手を染める67話「SNS中毒VS縄文人」といったエピソードも。中には救いのないまま終わってしまう話も描かれていた。
子ども向け作品として「怖い」「話が重い」といった反響もある6期だが、シリーズ初の「ギャラクシー賞」を受賞するなど作品としての評価は高い。水木しげるが生み出した『鬼太郎』の世界と現代社会をうまく組み合わせた同シリーズだからこその展開に、期待を寄せるファンも多そうだ。
ほかにも「できれば6期主人公のまなちゃんの活躍が見たい!」「映画がアニメの1話に繋がる…… みたいな展開だといいな」といった、6期自体との関連を望む声も多いよう。
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は11月17日に公開予定。どのような“鬼太郎誕生”が描かれるのか、いまから楽しみにしていよう。