『キャプテン翼 BOYS DREAM』令和に蘇るレジェンドサッカー漫画の“懐かしさ”と“新しさ”

 連載開始から40年を超えた現在も連載中のレジェンドサッカー漫画『キャプテン翼』を世界観そのままに現代版にリメイクした『キャプテン翼 BOYS DREAM』(原作:高橋陽一/漫画:戸田邦和)待望の第1巻が2023年10月4日に発売となった。

 前作『キャプテン翼 KIDS DREAM』では小学生時代の大空翼と若林源三の伝説の激闘を初め、様々なライバル達としのぎを削る全国サッカー大会の模様が描かれたが、本作は舞台を中学校に移した形で物語が展開される。

 全国中学生サッカー大会を2連覇し、前人未踏の3連覇に向けて練習に挑む大空翼率いる南葛中学。優勝大本命の南葛中学を阻むべく、様々なライバル達が翼達の前に立ちはだかる。

 原作である『キャプテン翼』で当時のエピソードが描かれていたのは、1980年代前半にまで遡る。作品の名前は聞いたことはあるが、どういった内容なのかまでは知らない、という若い世代の読者にはまさにうってつけの作品となっている。

現代仕様の『キャプテン翼』原作との変更点にも注目

 当時の熱量はそのままに、現代版キャプテン翼として描かれる本作。原作版からの変更点を読み比べて見るのも面白い試みだろう。

 40年前当時にはなかったスマートフォンが本作では登場している。ストーリーを読み進めていく上で、読者に違和感なく物語が入ってくるように調整されているのだ。また、作中屈指の人気キャラクター日向小次郎が所属する東邦学園中等部のチームメンバーが翼達の試合をテレビで観戦しているシーンが描かれているが、原作ではブラウン管TVだったがBOYSDREAMでは壁に埋め込み式の薄型TVになっている。

 さらには、全国中学生大会静岡県大会決勝で南葛と対峙する大友中学の2年生エース、新田瞬が試合の中で果敢にノートラップボレーを試みるシーンが登場する。原作では日本サッカー協会の片桐というキャラクターが咥えていたタバコをポロッと落として「これは、わからんぞ…!」と新田のシュートタイミングが徐々にあってきていることに驚くシーンがある。ここが、本作ではタバコを咥えている描写自体がカットされているのはコンプライアンスに厳しい今の時代を反映しているのだろうか。

 基本的に原作のストーリーを忠実に踏襲しているが、原作の1つの特徴である見開きがリメイク版では1ページで描かれていることが多い。より展開にスピード感を持って物語を読み進めることができる仕様にしているように感じられる。

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