『キングダム』の完結はまだまだ先? 長期連載の要因となる「最も長かった戦い」ランキング
2006年より「週刊ヤングジャンプ」で連載中のマンガ『キングダム』。春秋戦国時代の中国大陸を舞台に、下僕から天下の大将軍を目指す主人公=信(李信)、のちの始皇帝=嬴政(えいせい)を中心に、中華統一を目指す壮大なドラマが描かれる。アニメ/実写映画も好調で、コミックの累計発行部数は1億部に迫る人気ぶりだ。
作者の原泰久氏が大きなアレンジを加えながらも、基本的に史実に基づいて展開されているストーリーであるため、「中華統一」が作品としてのゴールと予想されるが、既刊69巻という時点で、秦・魏・趙・楚・燕・斉・韓の7大国はいずれも健在。一つひとつの戦いのなかで複雑な戦略や登場人物たちの想いと成長が細やかに描かれているため、これだけの長期連載になっているのだろう。
そんな『キングダム』のなかで、これまでもっとも大きなボリュームで描かれた「戦い」はどれなのか。本稿では、開戦から終幕までの話数が多い戦いをランキング形式で紹介してみたい。
3位:流尹平野の戦い(40話)
204~243話の40話にわたって描かれた流尹平野の戦いで、秦軍は総大将に蒙豪据えた布陣で出陣。のちに六大将軍へと昇格する、王翦と桓騎が副将として初登場した戦いである。
侵攻先の魏国での総大将は白亀西だが、実の総大将は蒙豪と因縁深い廉頗。この戦いの中で王翦や桓騎の実力の一端や、廉頗に仕える四天王の一人輪虎と信の激闘など、多くの戦闘や回想シーン、戦場ごとの場面転換が行われた。“その場の戦い”だけにとどまらない緻密な描写が本作の魅力であり、それぞれの戦いが長期化する要因だろう。
2位:函谷関防衛戦(83話)
函谷関防衛戦は272~354話と83話に渡って描かれた激闘である。趙国の宰相・李牧と、楚国の宰相・春申君が発起した五国の合従軍が秦国の首都咸陽へ侵攻する戦いだ。
秦のほぼ全ての武将が集められ、これまでの戦いの中でもっとも多くの武将が登場したエピソードでもある。また、麃公や蒙豪といった大将軍に加え、これまで目立った活躍がなかった将軍の蒙武や騰など、今後主要人物となるキャラクターも登場した。
中でも大きな出来事は、李牧が率いる別働隊による北道の侵攻。いち早く気づいた麃公と信は、戦場を離れ追撃するも趙国三大天の煖龐により麃公は討ち死にし、信は民間人しかいない蕞城へ敗走。咸陽を目前とした蕞城を最終防衛線とすべく、秦王・嬴政が立ち上がり、呂不韋との政権争いも大きな転換を迎えた。