“岡村ちゃん”の魅力の正体は? 読むラジオ『岡村靖幸のカモンエブリバディ』でわかった“謙虚さ”と“逆張り”と“自由”

“岡村ちゃん”の魅力ってなんだろう?

日本語をグルーヴさせるセンス? もちろん。

恋愛の純粋性や変態性を描いた歌詞? 当然。

キレキレのダンスパフォーマンス? YES!

 といろいろ挙げることはできるのだが、何か足りない。“岡村ちゃん”とつぶやくだけで気分がちょっと明るくなって、キュンとしてしまう、あの感覚の正体って……と長年に亘って考えてきた筆者だが、その答えは、この本の中にあった。『岡村靖幸のカモンエブリバディ』。2019年から2021年に渡ってNHK-FMとNHKラジオ第一で不定期に放送されたラジオ番組『岡村靖幸のカモンエブリバディ』を再構成、岡村ちゃん自身の書き下ろしコメントを加えた“読むラジオ”だ。

 『岡村靖幸のカモンエブリバディ』のメインコンテンツは、ゲストを招き、岡村ちゃんがいろんなことを学んだり、セッション(モノ作り)するというもの。ゲストとして登場するのは大貫妙子(シンガーソングライター)、神野紗希(俳人)、ライムスター・宇多丸(ラッパー・ラジオMC)、斉藤和義(シンガーソングライター)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(劇作家・演出家)、犬山イヌコ(俳優・声優)、加賀美幸子(アナウンサー)、河合敦(歴史研究家・歴史作家)、満島ひかり(俳優・歌手)。さらに“ボーナストラック”として、小林克也(ラジオDJ)とのトークセッションも収録されている。

  印象的なのは、岡村ちゃんの学びの姿勢。とにかく真剣で謙虚、そして、とことん自由なのだ。たとえば「ライムスター・宇多丸さんにラップを学びます」。まず、岡村ちゃんが“ラップを学びたい”と思うこと自体がすごい。宇多丸からも「今までもほら、例えば韻を踏まれたりとか、しゃべり言葉調に近くて、要するにメロディっぽくないというか、リズム重視のパートだってあるじゃないですか。まあ、ラップっちゃラップですよ」と“なんでラップ教えてほしいんですか?  ”と突っ込まれているのだが、岡村ちゃんは「っちゃ、じゃないんですけど……(笑)」「ちょっと習ってみたいなあと思って、はい」と教えを乞う。(その後、リリックの書き方などを学ぶのだが、宇田丸に「字余り傾向がありますね…」と言われたりする)

 さらにケラリーノ・サンドロヴィッチにはラジオコントの作り方、60年のキャリアを持つアナウンサー・加賀美幸子には言葉と息遣いを学び、斉藤和義とはソングライティング・セッションを行っているのだが、その姿勢はいつも謙虚、そしてマジメ。ゲストとの対話・学びを通して、岡村ちゃんが新たな知識や経験を吸収し、変化(成長)していく姿こそが、この本(ラジオ)の最大の魅力なのだと思う。

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