新垣結衣の主演で注目『違国日記』の魅力とは? 35歳の小説家と両親を亡くした中学生の交流

 こどもの成長を語るうえで“自立”(もしくは自律)という言葉は多く用いられる。上記エピソードの朝を安直に「成長した」と語るのはむずかしいかと思うが、このときの朝が自立へ向かっていることはたしかであろう。

 槙生は親や大人といった立場ではなく一個人として朝と関わろうとする。1巻「page.1」で描かれた仕事をしている槙生を「ちがう国の王女」と称した朝の言葉は、自身を確立し他者と関わる槙生の人物像を表したものであると感じる。

 一般的な大人象からかけ離れた一面を見せつつ、ときに女王のような威厳でつき放しながら、ひとりの人間として他者に歩み寄ろうとする槙生。彼女を演じる新垣の他者に歩み寄り言葉をかける姿は、原作漫画と同様に多くの人の心に寄り添ってくれるはずだ。

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