「少年ジャンプ」脱体育会系? 『あかね噺』『暗号学園のいろは』……”文化系漫画”の全盛期到来か

『ハイキュー!!』以降のスポーツ漫画は…


かくして文化系の漫画が台頭している現在の「週刊少年ジャンプ」だが、その先駆けとなったのは『アクタージュ act-age』かもしれない。

 同作は少年漫画では珍しい「役者」をテーマとした物語で、主人公が俳優として才能を開花させていく過程や、演劇・ドラマ撮影などの裏側をリアルに描いていた。「落語」「暗号」「南北朝」といったニッチな題材の企画が通るようになった背景として、同作の大ヒットは少なからず影響しているのではないだろうか。

 他方で気になるのは体育会系、すなわちスポーツ漫画の衰退だ。「週刊少年ジャンプ」では2020年に『ハイキュー!!』が完結して以来、スポーツ漫画の目立ったヒット作が出ていない。

 2021年11号からの新連載として、王道の野球漫画『クーロンズ・ボール・パレード』も掲載されたが、長期連載にはならなかった。

 現行の連載陣でいえば、『アオのハコ』はスポーツ強豪校の部活動を描いた内容。バドミントン部の主人公、バスケ部のヒロインによる青春が描かれている。しかし物語の主軸は、あくまで高校生男女のラブストーリーだ。

 そんななか、5月8日に発売された「週刊少年ジャンプ」からは、ボクシング漫画『ドリトライ』の連載が始まった。終戦直後、ボクシングが「拳闘」と呼ばれていた時代を舞台としており、その熱い展開には体育会系のマインドを強く感じざるを得ない。

 『ドリトライ』は文化系全盛の時代に、一石を投じられるのかどうか。物語の行く末に注目していきたい。

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