土偶の正体が解明された? 話題の書籍『土偶を読む』を大検証する『土偶を読むを読む』発売へ

 「土偶の正体」は果たして本当に解き明かされたのか? 考古学の実証研究とイコノロジー研究を用いて、土偶は「植物」の姿をかたどった植物像という説を打ち出した竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)は、NHKの朝の番組で大きく取り上げられ、養老孟司ほか、各界の著名人たちから絶賛の声が次々にあがり、ついに学術書を対象にした第43回サントリー学芸賞までも受賞。

 しかし、世間一般の評価と対照的に、『土偶を読む』は考古学界ではほとんど評価されていないそうだ。それは何故なのか。4月28日に刊行された『土偶を読むを読む』(文学通信)は、そんな話題本『土偶を読む』を検証・批判する書だという。

 「答えがない」時代であっても、これまでの研究で「わかっていること」は一般の方が思っているよりもかなり多い。遺跡からはさまざまな縄文人の使った道具や、彼、彼女らの暮らした痕跡が大量に残されている。モノとして動かしようのない事象や、そこから導き出される合理的な推論は一般の方が思うよりも遥かに多く蓄積されている。それらを紹介する機会としてもこの場を借りたいと思う。そして、「わからない」ことがわかることもまた学問だと言える。可能であれば討論の場を作りたいと考えています。――『土偶を読むを読む』編者・望月昭秀

書籍情報

『土偶を読むを読む』
ISBN978-4-86766-006-5 C0021
四六判・上製・432頁
定価:本体2,000円(税別)
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-006-5.html
文学通信刊

関連記事