『水星の魔女』15話に戦々恐々……スレッタとミオリネを巡る“呪い”の行方を考える

 一方、ミオリネには父との確執が存在していたものの、その確執は12話以降半ば解消されつつあるように見える。身を呈してミオリネを守ったデリング、そして重傷を負ったデリングを助けたミオリネという描写は、この2人の間の対話の可能性を示すものだと思う。これまで放送された内容に関する限り、ミオリネとデリングの確執は呪術的なニュアンスのある「呪い」というよりは根の深い親子喧嘩であり、『美味しんぼ』での山岡と海原雄山のような関係だったといえるだろう。

 ということで、これまでは呪いを背負っていないミオリネだったが、亡き母親が提唱したというクワイエット・ゼロは、ミオリネにかけられた呪いとなる可能性がありそうだ。クワイエット・ゼロ実現のために運用される技術はエアリアルに搭載されているものと同系統だし、地球圏全体に及ぼす影響は計り知れない。おぞましさすら孕む技術によって実現される巨大プロジェクトを、実の親であるノートレットと「義母」であるプロスペラから背負わされたわけで、ミオリネにとっての地獄もここから始まるのではないかという懸念がある。始まってほしくないが……!

 とはいえ、強烈な呪いを背負わされることでスレッタとミオリネの立場がようやく揃うという側面もある。そうであるならば、スレッタ一人では立ち向かえないような困難にも二人で立ち向かうこともできるかもしれない。いやもうほんと、そうなってくれないとこっちの身が持たないぞ……と、戦々恐々とする今日この頃。今週はあんまり酷いことにならないといいけれど……。

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