鳥山明、尾田栄一郎、藤本タツキ……偉大な漫画家の共通点は?
「鳥山先生の絵は、漫画家からするとちょっとした発明のようなもの」――。そう評したのは『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの作者・荒木飛呂彦である。彼の言葉通り、鳥山明の『ドラゴンボール』はバトル漫画における“発明”が数多くあった。
しかし鳥山が“後世に与えた影響”という視点で考えてみると、『Dr.スランプ』の存在も忘れてはならない。同作の連載が始まった1980年、「週刊少年ジャンプ」には大きな革新があったという……。
当時といえば、まだまだリアリスティックな絵柄、いわゆる劇画調の漫画が主流であった。75年~90年代あたりのヒット作を見てみると、『サーキットの狼』『ドーベルマン刑事』などに始まり、『コブラ』『北斗の拳』『魁!! 男塾』といった“男らしい”漫画が人気を博していたことが分かる。
ゆえにハードボイルドな世界観の作品が多かった時代でもあるのだが、その中で鳥山は他の作品とは一線を画す『Dr.スランプ』を生み出した。デフォルメされたポップなキャラクターをメインとしながらも細部を緻密に描写した作風は多くの人に衝撃を与え、なんとその頃から新人賞の応募作品や新人漫画家による持ち込み作品の半分近くが“鳥山調”になったというのだ。
もしかすると、鳥山の『Dr.スランプ』がなければ「ジャンプ」の“色”はまた違ったものになっていたかもしれない。
そして彼のように「ジャンプ」の“色”を変え、新時代の礎を築いた偉大な漫画家は他にも……。