大場つぐみ×小畑健に続く黄金コンビに? 週刊少年ジャンプで『食戟のソーマ』タッグの新連載スタート

 4月10日発売の「週刊少年ジャンプ」19号より、新連載『テンマクキネマ』がスタートした。人気グルメ漫画『食戟のソーマ』でタッグを組んだ原作・附田祐斗と作画・佐伯俊による作品で、『デスノート』以降共作を続けている大場つぐみ×小畑健のようなゴールデンコンビになるかもしれない。

 『テンマクキネマ』は、優等生だが常軌を逸した映画好きの中学生・新市元(しんいち・はじめ)が、すでにこの世を去った謎の天才脚本家・天幕瀧飛虎(てんまく・たきひこ)の幽霊と出会い、映画制作の道に導かれていく物語。カリスマ女優で、瀧飛虎が元の体を借りて書き上げた脚本に惹かれるヒロイン・倉井雛希(くらい・ひなき)も魅力的だ。

 秘めた才能を持った少年と、無念を抱いてこの世を去った天才のバディーーそんな構図に佐伯俊の美しい作画も相まって、小畑健が作画を手がけた『ヒカルの碁』を彷彿とさせる本作。原作の附田祐斗によるフックのある(あるいはハッタリの利いた)楽しいキャラクター造形は『食戟のソーマ』で躍動していた通りで、「グルメ/料理」というモチーフから“ザ・少年漫画”というべき能力バトルや青春ドラマを紡いだ手腕は、本作でも遺憾なく発揮されそうだ。

 インパクトのあった前作から一転、やや地味なモチーフに思える“創作”をテーマにした青春活劇を描くという流れが、『デスノート』のあとに『バクマン。』をヒットさせた大場つぐみ×小畑健のコンビに重なるところだ。ヒットメーカーとしての信頼があるからこそ、週刊少年ジャンプという競争の激しい舞台でも「ドラマ重視」の作品をじっくり描ける、ということかもしれない。本作もド派手なスタートではないが、続きが気になるクオリティがある。

 大場つぐみ×小畑健コンビの評価はすでに確立されており、精緻に構築された物語の力で、幅広い年代のファンを獲得している。一方、附田×佐伯コンビの優れたところは、キャラクター造形からストーリー展開まで、あくまで「少年・少女」をワクワクさせる作品づくりに思える。大人の読者がハマれるかどうかは今後の展開次第だが、「少年漫画雑誌」の読者層を惹きつけるパワーはかなりのものだ。

 『海が走るエンドロール』(たらちねジョン)や『かげきしょうじょ!!』(斉木久美子)、あるいは『【推しの子】』(原作:赤坂アカ/作画:横槍メンゴ)まで、映画や演技を軸にした人気作は多い。そのなかで、新たな黄金コンビによる「週刊少年ジャンプ」の新連載がどう発展していくのか、楽しみにしたい。

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