講談社、経営好調維持『別冊フレンド』は『ブルーロック』の付録効果で重版に 『東リベ』などIPの強みを活かす戦略当たる

 

 2月13日発売の講談社の少女漫画雑誌「別冊フレンド」(別フレ)3月号が品切れ状態になっていることがわかった。品不足の影響を受け、21日、同社は公式サイトで急遽重版を発表した。3月号では、「週刊少年マガジン」で連載されているサッカー漫画『ブルーロック』とコラボが行われ、キャラクターカード16枚とカードを入れる特製ケースが付録になっている。

 Twitter上では、同誌を入手するために書店巡りをした人が相次いで書き込み、さながら争奪戦の様相を呈している。

 異例の事態に編集部は、「当該号につきましては、ただいま重版製造を進めており、2023年4月14日ごろから順次書店納品となります。ご購入をご希望される皆さまを長くお待たせしてしまい大変申し訳ございませんが、お近くの書店様・ネット書店様でお買い求めくださいますようお願いいたします」とコメントを発表。

 付録も併せて製作するため、重版分の製造が遅れることを告知している。なお、コンビニエンスストアへの重版分の配本はないとのことだ。

 なお、「別フレ」は2021年12月にも重版を行っている。「別フレ」1月号に『東京卍リベンジャーズ』のクリアカードが付録についたことから、発売前からSNSなどで話題となり、予約が殺到。発売前の時点で入手困難が予想されたため、重版に踏み切ったものだ。

 日本雑誌協会が発表する2022年7月〜2022年9月の3ヶ月毎の平均印刷部数によると、「別フレ」は24,000部を発行している。約4年前、2018年10月〜2018年12月には60,167部を発行していた。品切れを起こした背景には、編集部の需要の読み違いもあると思われるが、部数減のため急激な需要に対応できなかったことも影響しているだろう。

 雑誌の部数減こそ続いているが、講談社の経営状態は順調である。新文化通信社の報じた講談社の第84期(2021年12月1日~22月11月30日)決算によれば、売上高は1694億8100万円(前年比0.8%減)、営業利益は191億円(同11.9%減)、経常利益は220億円(同8.3%減)、当期純利益は149億6900万円(同3.8%減)となった。

 全体としては減益となったものの、内訳で見れば「事業収入」が1001億7200万円(同10.0%増)、「広告収入」73億9400万円(同5.0%増)となった。『ブルーロック』や『東京卍リベンジャーズ』など相次ぐヒット漫画の輩出もあって、高い水準で推移している。雑誌の重版のニュースは、改めて出版社にとって良質なコンテンツが重要であることを実感させてくれる。

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