デンジ×パワー、アキ×姫野……『チェンソーマン』ロスを癒すスピンオフ作品 あなたが読んでみたいのは?

 アニメ『チェンソーマン』第1期が好評のうちに終了。早くも第2期への期待の声が上がるとともに、1月4日にはコミックス最新刊となる13巻が発売、今秋の舞台化が発表されるなど、その勢いは増すばかりだ。

 アニメの人気と話題性からも、ラストに描かれたあるキャラクターの姿からも、続編が制作されることはほぼ間違いないだろう。それまでの期間で原作を読み、アプリ「少年ジャンプ+」での連載に追いつくファンも増えそうだが、「本編はアニメで観たい」というアニメ派も少なくない。そんな人たちが「チェンソーマン・ロス」を回避するためにおすすめしたいのが、2021年11月に刊行された小説『チェンソーマン バディ・ストーリーズ』(原作:藤本タツキ/小説:菱川さかく)だ。

 一部、まだアニメで描かれていないキャラクターが登場するエピソードこそあるが、本編の大きなネタバレなしに、人気キャラクターたちのサイドストーリーが楽しめる本作。タイトルの通り、「バディ」にフォーカスしたオムニバス形式の小説で、特に「名探偵パワー様と助手のデンジ」「バディになった日」の2エピソードは、アニメでキャラクターたちの“関係性”に惹かれたファンに刺さる作品だろう。

 「名探偵パワー様と助手のデンジ」では、マキマからの指令を受けたデンジとパワーが、山奥の屋敷で客や従業員の失踪事件に立ち向かう、というもの。探偵アニメにハマったパワーがデンジを「助手」に任命し、ドタバタの捜査活動をする様子が面白い。アニメ版を観たあとだと、各シーンがより想像しやすく、現場に居合わせた民間のデビルハンターたちが気の毒に思えてくる。デンジ×パワーのコンビに愛着を持ったファンは、ぜひチェックしてみよう。

 一方、「バディになった日」はアキと姫野の物語だ。銃の悪魔への復讐に燃えるアキと、一見不真面目にも思える姫野の相性はいいようには思えないが、ふたりはどんな経緯でバディを組み、任務と向き合ってきたのか。漫画版でも、アニメ版でも、彼らの顛末に心を痛めたファンが大勢いるなかで、小説版でふたりのエピソードが補完できるのはうれしいところだ。

 『チェンソーマン』には、謎に包まれた人気キャラクターや、いくらでも膨らませようがあるのにあっさり退場してしまったキャラクターが少なくない。アニメで印象を残したキャラクターなら、コベニやサムライソードの前日譚も面白そうだ。漫画作品としての連載はハードルが高くても、小説版であれば表現できることもある。みなさんはどんなキャラクターのスピンオフが読んでみたいだろうか。

関連記事