『オズの魔法使い』ファンタジーの古典があざやかに絵本化 堀内誠一の生誕90周年イベントも

 『ぐるんぱのようちえん』『たろうのおでかけ』などで知られる絵本作家・堀内誠一は、数々のタイトルロゴを手がける有名なアートディレクターでもある。2022年は、堀内誠一生誕90周年のメモリアルイヤー。

 そんな記念すべき年に、岸田衿子のはずむような文章と堀内誠一のカラフルなイラストで、ファンタジーの古典をあざやかに絵本化。『オズの魔法使い』(偕成社)を刊行した。

 『オズの魔法使い』は、1900年にライマン・フランク・ボームが発表したアメリカの長編童話。刊行後、空前の大ヒットとなり、ボーム自身によって全14巻の「オズ・シリーズ」が書きつがれた。

 本作は、詩人・童話作家の岸田衿子の文に、絵本作家の堀内誠一が絵をつけた。1969年に世界文化社から刊行された『オズの魔法使い』を元に、原画を新たに製版して、文章も表記を改め、デザインも新たに生まれ変わっている。

あらすじ

 ある日ドロシーは、家ごと竜巻に巻き上げられてしまいました。竜巻に下ろされた先は、魔法使いや魔女たちのいるオズの国。そこで出会った、わらでできたかかしに、ブリキのきこり、それに弱虫なライオンといっしょに、オズ大王に会って家に帰してもらうため、みんなでエメラルドの都をめざします。

 本作は、長編童話『オズの魔法使い』のエピソードをすべて網羅しつつも、76ページの絵本に巧みにおさめている。

イベント情報

2022年は堀内誠一生誕90周年のメモリアルイヤー。全国で大きく「堀内誠一 絵本の世界」の巡回展が開催されているほか、銀座・教文館では『くるみわりにんぎょう』(ホフマン 作/山主敏子 文)の原画展が開催中。12月27日からは、同じ会場で本作『オズの魔法使い』の原画展も予定されている。

・堀内誠一原画展『くるみわりにんぎょう』
2022年10月29日(土)~2022年12月25日(日)
教文館9Fナルニアホール
イベント詳細▼
https://www.kaiseisha.co.jp/news/29629

・堀内誠一原画展『オズの魔法使い』
2022年12月27日(火)~2023年1月22日(日)
教文館9Fナルニアホール
イベント詳細▼
https://www.kaiseisha.co.jp/news/29727

プロフィール

原作:ライマン・フランク・ボーム
1856年、アメリカのニューヨーク州に生まれる。裕福な父親をもち、病弱だった少年時代は、家庭で教育を受けながら、読書や詩作、物語の創作をして過ごした。新聞の発行や演劇の興行など、さまざまな職をへたあと、四十代で童話の創作を始め、1900年に発表した『オズの魔法使い』で大成功を収めた。以後、読者の要望に応えて全14巻のオズ・シリーズを執筆している。1919年逝去。彼の死後もオズ・シリーズは他の作家によって書きつがれた。

文:岸田衿子
1929年、東京に生まれる。東京藝術大学油絵科卒業。詩人・童話作家。海外でも高い評価を受けた『かばくん』や産経児童出版文化賞大賞を受賞した『かえってきたきつね』のほか、『ジオジオのかんむり』『スガンさんのやぎ』など、親友の画家、中谷千代子と多くの共作絵本がある。堀内誠一との絵本には『かにこちゃん』『いかだはぴしゃぴしゃ』など。おもな絵本に『なにをたべてきたの?』『きょうのおべんとうなんだろな』、翻訳絵本に『はろるどとむらさきのくれよん』『どろんここぶた』、詩集に『ソナチネの木』などがある。2011年逝去。

絵:堀内誠一
1932年、東京に生まれる。デザイナー、アートディレクター、絵本作家。雑誌作りにおけるエディトリアルデザインの分野で先駆的な活躍をするとともに、絵本作家として数多くの作品を手がけた。絵本に『たろうのおでかけ』『ぐるんぱのようちえん』『おやゆびちーちゃん』『こすずめのぼうけん』『ほね』、挿画作品に『おそうじをおぼえたがらないリスのゲルランゲ』『マザー・グースのうた』『秘密の花園』、それ以外の著作に『パリからの旅』『絵本の世界・110人のイラストレーター』『音楽の肖像』『ここに住みたい』などがある。1987年逝去。

書籍詳細

『オズの魔法使い』
原作:ライマン・フランク・ボーム
文:岸田衿子
絵:堀内誠一
定価:2,400円+税
対象:小学校低学年から
サイズ:27cm×22cm
ページ数:76ページ
ISBN コード:978-4-03-425380-9
発売日:2022年12月5日

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